五賢帝時代~ローマ史講座Ⅷ
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ローマの皇帝に必要だと言われた2つの資質は?
五賢帝時代~ローマ史講座Ⅷ(2)暴君の経験を経てネルウァ登場
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
五賢帝時代はどのように始まったのか。東京大学名誉教授の本村凌二氏が、カリグラ、ネロ、ドミティアヌスという五賢帝時代前の暴君の経験を経てネルウァが登場するまでを、グラビタスとレビタスという2つの皇帝の資質から語る。(全9話中第2話)
時間:15分34秒
収録日:2018年2月8日
追加日:2018年5月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●カリグラの登場による帝政の転回


 表向きは独裁者を許さないことが、カエサルからオクタヴィアヌス、アウグストゥスに至り、結局ローマ人の意識が共和制ではなく帝政、つまり元首という一人の人物に全権を委ねるシステムに出来上がっていくわけです。

 もちろん、以前にもお話ししたように、皇帝になる人物は自分から「絶対権力者です」とか、「国王です」とか、そういうことは言いません。あくまでも自分は全権を握るのではなく、むしろ全権をローマ国家に返す姿勢を取りながら、周りが彼らに委ねる形でローマの帝政が成立しました。それからアウグストゥス、ティベリウスとうまくいき、ティベリウスが亡くなった後にカリグラという非常に若い皇帝が登場しました。最初の約半年は良かったのですが、一説によれば神経系統の病気を患い頭がおかしくなったということですが、非常に残忍な皇帝になります。


●母や側近を殺害し、自害したネロ


 ネロは暴君の代名詞のようにいわれますが、母親を殺し、自分の側近を次々に死に追いやり、最終的には自分が追い詰められ、自害せざるを得なくなりました。

 一方、彼はパフォーマンスも好きでしたから、民衆の前に芸人あるいは芸術家のごとく出て行って、戦車競技に参加したり、竪琴の演奏をバックに自分で歌ったり、詩を創作したりと、人前で目立つようなパフォーマンスを行いました。ですから、民衆からすれば皇帝が祝祭的なことをやるというので、それなりに面白い催し物になったのではないかと思います。


●皇帝の2つの資質――グラビタスとレビタス


 ローマの皇帝には2つの資質が必要だとよくいわれます。1つはグラビタス(Gravitas、重々しさ)で、もう1つはレビタス(Levitas、軽々しさ)です。皇帝である以上は、重々しいところもなければいけないが、それが過ぎると今度は嫌われるところがあるということで、この1つの典型がティベリウス帝ではないかと思います。

 逆に、ある程度軽々しい部分も持っていなければいけないのですが、それがいきすぎてしまったのが、人前でパフォーマンスをやったりして目立ちたがりであったネロです。

 ですが、民衆からすれば、彼はさまざまな見世物興行を盛んにやりますから面白い面もあったと思います。ところが、国家の側からすれば、多額の負担を背負うことになるため、国家財政は破綻していまいます。破綻するとそ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫