五賢帝時代~ローマ史講座Ⅷ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ハドリアヌスの属州視察と文化事業との関係
五賢帝時代~ローマ史講座Ⅷ(5)ハドリアヌスの文化事業
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
トラヤヌスに比べて文人肌だった皇帝ハドリアヌスは、治世の半分を属州の視察旅行に努めた。この結果、各地にハドリアヌス時代の建築物が造られることとなる。また、彼は詩人と詩作を取り交わすレビタス(軽々しさ)も持ち合わせていた。東京大学名誉教授の本村凌二氏がハドリアヌスの属州視察と文化事業について語る。(全9話中第5話)
時間:11分52秒
収録日:2018年2月8日
追加日:2018年5月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●治世の半分を属州の視察旅行に費やしたハドリアヌス


 ハドリアヌスは22~23年ぐらいの治世の間、半分は、属州巡察に努めています。1~2年各地を回ってはまたローマに戻って来るという形で、何度も繰り返し属州視察旅行を行いました。ただ、実際に皇帝が来ても、属州の人々は皇帝を直に見ることは、ほとんどあり得ません。しかし彼は、20数年の間に10年近くは属州視察をしていましたから、ほとんどの属州をくまなく行ったことになります。

 中でも特にローマ人にとってギリシャは先進文化です。ギリシャを征服してから300年から400年ほど経過した紀元2世紀ごろでも、ギリシャの文化からさまざまなものを学ぼうという姿勢をハドリアヌスは強く持っていました。文人肌の皇帝ですから、いわばギリシャかぶれのように、ギリシャの文化をより重視するのです。


●ハドリアヌス・ルネッサンス~ドリアヌス時代に修復・建築される建物~


 だから属州視察旅行に行くたびに、さまざまなところに新しい建物が造られたり、あるいは古いものが修復されたりします。つまり一方の側からすれば、皇帝陛下がわれわれのところにいらっしゃるのだから、町をきれいにしたり、皇帝陛下に対する記念碑を建てなければならないということになります。ハドリアヌスの側からすれば、そういう形で広く民衆に迎え入れられることは、自分がさまざまな面で評判を落としていたことを拭い去るチャンスになったのではないでしょうか。

 ともかく治世20数年の間の半分を属州視察旅行に費やして、帝国内のさまざまな安定に努めます。トラヤヌスが戦争によって自分の権威を誇示したのに対して、ハドリアヌスは戦争よりも文化的な事業の復興と連動して属州視察旅行が行うことで民衆に皇帝への敬愛の念、敬慕の念を持たせようとしたのです。

 ですから、おびただしい数の建物が、この時代に建てられたリ修復されたりしています。「ハドリアヌス・ルネッサンス」という言葉がありますが、ルネッサンスはイタリアで15世紀ぐらいから始まった運動で、近代的でさまざまな新しい様式が出来上がってきたことに倣っています。ハドリアヌスによって、さまざまなところの建物が修復されたために、例えばギリシャに行って建物を見ると分かります。パルテノン神殿などは紀元前5世紀のものですが、小さな神殿はハドリアヌスの時代にかなり修復されており、新しく建て...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
もののあはれと日本の道徳・倫理(4)「なあなあ」の日本ともののあわれ
「なあなあ」と自粛警察…大和魂と漢才の対から見えるもの
板東洋介
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
老荘思想に学ぶ(3)「過度」を戒める「道」の思想
実力、実質を伴わずにやり過ぎるのは愚の骨頂である
田口佳史
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(6)賃金の未来シナリオ
AIが人間の仕事を「完全代替」したらどうなる?…仕事と賃金の未来
宮本弘曉
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
ウェルビーイングを高めるDE&I(5)心理的安全性の高い組織づくり
無知、無能、邪魔!?…心理的安全性を阻害する5つの要因
青島未佳