軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ガッルス、ウァレリアヌス、クラウディウス2世の悲惨な最期
軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ(3)捕虜や疫病-悲運の皇帝たち
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
紀元251年から270年の20年間は、軍人皇帝にとって受難の時期だった。自分を盛り立てる兵士たちの信頼を失って暗殺の憂き目に遭う者もいれば、ローマ史上初めて敵軍の捕虜となってしまった皇帝もいる。今回は、ガッルスからクラウディウス2世までの軍人皇帝たちについて語る。(全6話中第3話)
時間:10分17秒
収録日:2018年8月29日
追加日:2019年1月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●ローマ兵士たちから信頼を得るには


 デキウスが戦死した後はガッルスという皇帝が出てきますが、彼の治世もたった2年でした。彼の場合は軍団の信頼を得られなくなったため、兵士たちからだんだん憎まれていき、結局は軍団中の兵士に殺されてしまうという最期でした。治世は、紀元251年から253年までです。

 その後、アエミリアヌスという皇帝が即位します。アフリカのジェルバ島生まれです。彼は北方戦線を担当しますが、やはり最終的には兵士たちの信頼を得られない人でした。兵士の信頼を得るためには、兵士の給料をよくするか、実戦での成果をあげるかの二つの方法を取らねばなりません。

 この時代、兵士たちは非常に気が立っています。もちろん時には休みたいこともあったはずですが、北方戦線などで、皇帝たちがゲルマン民族と金銭的な取引をして講和に向かうような動きを大変嫌いました。

 彼らローマ軍の兵士たちは、ローマ人同士で戦う内乱というかたちを忌み嫌いました。第1回講義でお伝えしたマクシミヌスのときにも、兵士たちがローマに進軍するのを嫌い、皇帝そのものを殺してしまうようなことが起きていました。しかし、敵がゲルマン民族やペルシャ人である限り、兵士たちは競って軍事的功績を立てようとするのでした。結局、アエミリアヌスも、帝位に就いた年のうちに殺されてしまうことになります。


●捕虜になったローマ皇帝ウァレリアヌス帝


 その後、ウァレリアヌスという皇帝が立ち、息子のガリエヌスとともに元老院による公認を受けます。かつてのゴルディアヌス1世・2世と同様の共治帝です。ゴルディアヌス家の場合は由緒正しさが認められましたが、ウァレリアヌスとガリエヌスの出生地の詳細は不明で、バルカン半島ではないだろうと考えられています。

 元老院貴族から見るバルカン半島は、ローマ・イタリアに比べると田舎の野蛮な地域と見なされ、その出身者であるだけで、あまり望まれませんでした。元老院がウァレリアヌスとガリエヌスを父子ともに皇帝として認めた、そのことには、彼らがそれなりの由緒正しさや教養、富裕な生活など、貴族的らしさを持っていたことの片鱗がうかがえます。

 元老院貴族によって同時に皇帝に迎えられた二人のうち、父親のウァレリアヌスは7年ほど帝位に就き、それなりの善政を行いました。彼は、北方戦線の一部勢力を息子に任せ、自分はパルテ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生

人気の講義ランキングTOP10
日本の財政の真実を検証する(6)「経済成長3つの源泉」の具体策
現代日本で「経済成長3つの源泉」の具体的プランを考えると?
宮本弘曉
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(3)戦犯は児戯に類す――丸一陣地の死闘
「諸君、私を戦犯にするというが如きは児戯に類することである」
門田隆将
中国春秋戦国時代と始皇帝(8)合従軍と秦の激闘
合従軍、秦に迫る!…秦王・嬴政を滅ぼしかねなかった激戦の史実
鶴間和幸
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
老いない骨のつくり方(5)骨を強くするためにできること
骨・軟骨を強くするために増やしたい栄養素、運動法
鄭雄一
ウェルビーイングを高めるDE&I(1)人と組織を取り巻く環境変化:前編
人材はコストではない!人的資本経営が注目されている背景
青島未佳
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
人間のほうがAIに寄ってしまう?…関係性と倫理のあり方
中島隆博