四分治制時代のローマ史~ローマ史講座XI
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ローマ帝国で鮮明になっていった絶対的な皇帝の権力
四分治制時代のローマ史~ローマ史講座XI(3)絶対的な君主としての皇帝へ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマにおいて、これまで皇帝の権力の源泉はあくまでも元老院にあった。しかし、この時代にはローマの拡大とともに皇帝の権力は絶対君主制的になっていった。ただし、ディオクレティアヌスはキリスト教を迫害したために、後にキリスト教が主流になってからあまり評価されてこなかった、と本村氏は語る。(全6話中第3話)
時間:6分28秒
収録日:2019年2月26日
追加日:2019年9月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●皇帝の権力の源泉は共和制にあった


 ディオクレティアヌスは、何よりも国民の意識を改革するということで、皇帝に対する忠誠心といいますか、皇帝の権力を強化するためには皇帝の絶対性というものを非常に強調しました。

 つまり、われわれがローマ皇帝と聞くと絶対的な権力だと思ってしまいますが、結局それは元老院が公認したものであるということです。

 ですから、ローマ国民の意思の下に選挙できちんと選ばれているわけではないわけです。後継者として任命された人を最終的には元老院が認めるという形で成り立っているわけです。

 それから、何度も繰り返しお話ししましたように、ローマは共和制という伝統を500年にわたって続けてきました。共和制という500年の伝統の中から元首、プリンケプスというものが出てきたわけです。そういう中にあって、皇帝とはあくまでもローマ市民の筆頭に当たる人、第一人者なのだという考え方です。ローマ市民がいる中に非常に突出して上に君臨するという、そういう存在ではなかったのです。


●皇帝に絶対的な権力が付与されるようになっていった


 しかし、長い間に混乱期、昏迷期、そして危機の時代を迎える中で、共和制的な伝統というものが次第に失われてくるわけですね。そうした中、絶対的な君主としてのローマ皇帝というものが、特にディオクレティアヌスの時代に非常に鮮明になってきます。つまり、そういう形で、君主の権威、あるいは皇帝の宗教的な権威というものを高めるわけです。

 「皇帝というのは結局、神から授かっているものだ」というのは、オリエントでは古くからあった考え方ですが、ローマやギリシャでは、やはり出発点は市民で、市民の自由というものを非常に大事にしてきたところですから、1人の人間が突出して偉いという考え方はしないわけです。

 しかし、そうした中にあってディオクレティアヌスの時代になると、オリエント的な絶対君主という考え方が鮮明になります。つまり、ローマ帝国がだんだんと広がっていく中、これを治めていくのにはそういう人が君臨しなければならないというのが一つの新しい愛国心の在り方として芽生えてきたのがこの時代であるということです。そのように、歴史が語られるわけです。


●ディオクレティアヌスは反キリスト教であったため評価されてこなかった


 先ほどから言っているように、キリスト教...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(7)領国経営と秀長の統治能力
想像以上に有能――領民に慕われた秀長のリーダーシップ
黒田基樹
「進化」への誤解…本当は何か?(5)ダーウィンの生物紀行
ダーウィン「進化論」執筆の背景…娘の死と信仰との決別
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文