四分治制時代のローマ史~ローマ史講座XI
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ディオクレティアヌスが圧倒的リーダーシップで進めた改革
四分治制時代のローマ史~ローマ史講座XI(2)ディオクレティアヌスの改革
歴史と社会
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ディオクレティアヌスは四分治制の中で圧倒的なリーダーシップを発揮した。軍事力の増強や官僚制を整備することによって広大な領土の細部までその統治が及ぶようにした。それは財政支出を増やす改革であった、と本村凌二氏は説明する。(全6話中第2話)
時間:7分16秒
収録日:2019年2月26日
追加日:2019年9月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●ディオクレティアヌスは4人の皇帝の中でリーダーシップを発揮した


 しかし、どのような時代でもそうですけれども、新しい改革をするからといって、なかなかそれが地に着いたものになるわけではありません。そういう一連の中で、四分治制に代表されるような皇帝で分割をするという中で、団結力が非常に見事であったということでしょうか。4人も皇帝がいると、当然いろいろな意見が出てきます。

 しかし、やはりディオクレティアヌスの圧倒的なリーダーシップといいましょうか、他の皇帝たちにとって、彼がいるから、われわれがあるのだというリーダーシップの見事さ、あるいは団結力、まとまりの良さというところがあって、この体制そのものはうまくいくわけです。

 実際に正帝が2人いますけれども、彼の戦友だったマクシミアヌスという人は、自分の戦友であり、部下であったわけです。彼をもう一人の正帝に据えました。ただ、マクシミアヌスは同じ正帝でありながら、最後までディオクレティアヌスに、非常に忠実であったということもあって、この体制そのものはうまくいくことになりました。


●財政支出を増やしたディオクレティアヌスの改革


 その他にも軍事力を倍増しました。軍人皇帝時代で非常に混乱していましたので、やはり軍事力をきちんとしておかないとまとまらないということです。しかし、そうすると結局、財政負担が増えてくるということが目に見えているわけですね。

 それで、いろんな形で彼は属州を細分化したり、官僚制を整備したりしますが、ローマ帝国というのは基本的にはチープガバメントなのです。帝政後期になると、国家から派遣される役人の数も多くなってしまいますけれども、基本的にローカルな単位で地元の有力者たちをうまく取り込んで、彼らを中に入り込ませる形で、国家の税金の支出というものを極力抑えているのです。

 ローマの一番華やかだった帝政初期の段階では、推定ですけれども、国家の役人は300人ぐらいしかいなかったのではないかと言われているぐらい、非常に、いわゆるチープガバメントでやっていた。軍隊は別でものすごい負担ですが、大体前近代では別にローマに限らず、国家予算の3分の2は軍事費でした。

 そういう中で、ディオクレティアヌスは四分治制を採ったわけですが、属州に関しては、そのことによって4つに分かれるため、その中の属州もまた細分化し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘

人気の講義ランキングTOP10
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
未来を知るための宇宙開発の歴史(12)宇宙推進技術はどこまで進化したか
水平離着陸で宇宙へ、近未来のロケット像と進む技術開発
川口淳一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(23)垂秀夫元中国大使が語る習近平中国
垂秀夫元中国大使に習近平中国と米中関係の実態を聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大