四分治制時代のローマ史~ローマ史講座XI
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キリスト教公認とコンスタンティノープルへの遷都の理由
四分治制時代のローマ史~ローマ史講座XI(6)「コンスタンティヌス大帝」
歴史と社会
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
コンスタンティヌスは、コンスタンティノープルへの遷都によって旧来の勢力との軋轢を回避しようとした。それはディオクレティアヌスによる改革を継承するものだったのだ、と本村氏は指摘する。また、キリスト教を公認したということで、彼は後のクリスチャンの人々から「コンスタンティヌス大帝」と呼ばれることになる。(全6話中第6話)
時間:7分11秒
収録日:2019年2月26日
追加日:2019年10月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●キリスト教の力も強くなり、内部の論争も起こるようになった


 それから前回も申しましたように、ミラノ勅令でキリスト教を公認するということで、公認して彼はさまざまな意味で教会に対して、公認しただけではなくて、教会を優遇しました。彼の周りにクリスチャンがいたということもありますし、彼自身が最後に亡くなる時に洗礼を受けたと言われています。そういう彼自身がキリスト教に対する、ある種の同調あるいは共感というものがあって、これをやがて公認し、さらには優遇するという形でキリスト教会にさまざまな寄付をするといったことを行いました。

 実際にキリスト教の考え方の中でも、神をめぐるさまざまな論争があります。父なる神と、神の子としてのイエス、それから精霊というものがあります、この3者の間をどのように考えるのかという問題です。キリスト教の教義というものが政府によって公認されたがために、もちろん公認されない段階でもそういった争いはあったにしても、やはり公認されると何が正当であるかという問題が表に出てくるということがあります。

 いろいろと公の宗教会議が開かれました。トルコの、かつては小アジアといったニカイアという所で325年に公会議が行われ、それから父なる神と、子なるイエスあるいはキリストとが同一なのだ、すなわち、父なる神が地上に姿を現したのがイエスであるという教義が正当とされました。

 他の説では、父なる神と地上に登場したイエスとは違うのだと言います。もちろん神の絶対的な影響力にあるのですけれども、やはり地上に登場したイエスというのは生身の人間としてのイエスというところがあって、それを必ずしも同一視しない考え方も別にあるのです。

 ところが、正統派の議論としては、父なる神と子なるイエスというものが同一の存在であるという、そういった解釈が正統教義になっていきました。この教義の統一にもコンスタンティヌスが関与するといいますか、彼の権力の下に宗教会議も行われたのです。


●コンスタンティノープルへの遷都


 それからもう一つ、彼は330年に、コンスタンティノポリスあるいはコンスタンティノープル、現在イスタンブールになっているところですけれども、そこにローマの都を移すということを行うわけです。その理由の一つとして、それまでの神々を信仰するローマの人たちがいて、そういった人たちと違った...

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