軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
軍人皇帝時代に終止符を打ったディオクレティアヌス
軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ(5)ディオクレティアヌスの改革
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
乱脈極まる軍人皇帝時代の終止符は、284年に打たれる。徹底的なローマ帝国の再建に向け、新皇帝ディオクレティアヌスによる改革は「聖域なき」ものであったようだ。第5回では、ローマ3世紀の危機脱出に向かうディオクレティアヌスについて語られる。(全6話中第5話)
時間:9分58秒
収録日:2018年8月29日
追加日:2019年1月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●軍人皇帝時代に終止符を打ったディオクレティアヌス


 ディオクレティアヌスは、50年間続いた軍人皇帝時代に終止符を打った、大変な立役者です。その彼が、おそらくカリヌスを殺したのではないか。直接に手を下さなくても、そのように仕向けたのではないかといわれています。彼はそういうことの非常に巧みな人物だったらしいのです。

 ディオクレティアヌスは皇帝になると、まず共治帝を立てました。2人の正帝と2人の副帝をつくり、合計4人による統治です。

 それまでの軍人皇帝の時代は、皇帝の後継者が不明瞭でした。ただ、ウァレリアヌスとカリヌスのように2人皇帝が立ち、息子のほうが後継者として皇帝位を継ぐ例はありました。そこで、息子でなくても同様に、つまり正帝と副帝というシステムでやっておけば、誰が次の皇帝になるかは明確です。そのように2人の正帝と2人の副帝と合わせた4人の皇帝による統治を「テトラルキア(四分治制)」といいます。このような改革から、まずスタートを切ります。


●小さな政府の徴税改革


 次に、インフレ状態への方策です。当時は兵士の給料に充てるため、どんどん貨幣を発行しては支払わなければならず、さらに戦費もかさみました。それらに対して貨幣の質を落として対処するため、次第にインフレーションが進んでいくようになっていました。そうなると、貨幣に一定の価値がなくなり、劣化・悪質化が進みます。そこで、財政改革をする必要があると彼は判断したのです。

 そこで、ディオクレティアヌスは徴税システムを刷新します。この徴税請負人の例が典型的に示すように、ローマは基本的にチープ・ガバメントでした。ローマ帝国というと、事務を司る巨大な官僚軍団がいたように想像されがちですが、そうではなかったのです。軍人はたくさんいますが、管理システムは非常に簡略なものでした。

 属州の要所要所にはローマの役人が派遣されるので、属州総督などはローマから派遣された役人でした。しかし、それぞれの総督が管理する個々の事務官は必ずしもローマの正規の役人ではなく、今でいう現地採用組が多かった。だから、国家管理としては非常に簡素なシステムであるわけです。

 ローマは、軍団を維持するために莫大な戦費や軍人の給料が必要だったけれども、事務軍団にはそれほどお金がかからなかったということです。しかし全体として貨幣が悪化していった...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(2)良き対話のための「問い方」の技法
良き対話のための「問い方」の技法とは?…ソクラテス流に「YES、NO」で答えさせ、お互いの考えを確認して進む
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将