軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
カエサルにも匹敵するディオクレティアヌスの優れた資質
軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ(6)ディオクレティアヌスの評価
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマ皇帝といえば誰もがカエサルを思い浮かべる。しかし、その業績や時代背景、政敵への処し方を考えると、もっと優れた人物がいたのではないか。最終回では、ディオクレティアヌスの優れた資質について、また、彼に対する評価について解説する。(全6話中第6話)
時間:11分56秒
収録日:2018年8月29日
追加日:2019年2月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●スッラ以来の「生前退位」の実践者として


 ディオクレティアヌスは20年間ローマを統治して、60歳ぐらいになった時に、とてつもないことを言い出します。自ら進んで皇帝を辞めるというのです。これは画期的なことで、ローマ皇帝の中で唯一自分から進んで辞めたのは彼だけです。

 半世紀にわたった軍人皇帝の大きな混乱期を収拾し、ローマ帝国の財政はじめ国家のあり方そのものをさまざまなかたちで改良していった彼が、です。60歳になった彼は、体調を崩したこともあったでしょうが辞める時に、もう一人の正帝にも退位を勧告します。「俺も辞めるから、おまえも辞めろ」と引きずりおろすようにして、二人の正帝がともどもに退位します。

 しかし彼は退位してすぐ亡くなったわけではなく、その後も12~13年ぐらい生きています。アドリア海のスプリト(現クロアチア、旧ユーゴスラビア)に引退し、今も別荘の一部が残っています。立派な別荘で彼は天寿を全うしたといわれています。

 当時はよほど次世代から慕われたり敬意を払われていないかぎり、退位したローマ皇帝は権力の座を降りた途端どんな目にあうか分かったものではなく、なかなか自ら進んで皇帝位を降りることはできませんでした。

 ローマ帝国になる以前には、スッラという見本がいました。紀元前80年代、グラックス兄弟の改革運動以来、ローマ人同士が相争う内乱の時代にあって、マリウス派を退け、スッラ派のリーダーになった人です。この人もやはり3年ほどで辞めてしまいます。ローマ皇帝の時代になる前は彼のような人がいましたが、それ以降自ら進んで辞めたのは、ディオクレティアヌスが唯一の存在です。


●カエサルに匹敵する精力・聡明さ・勇敢さ


 ディオクレティアヌスの潔さについては、他にもエピソード的に残されています。スプリトの別荘にこもり、農園で果樹栽培を行っていた彼が公式の会議に招待された時の話です。

 ディオクレティアヌスの退位した後ですから、また何人かの皇帝が正帝・副帝としているわけですが、どうも収拾がつかないことが多過ぎる。そこで、「ディオクレティアヌスさま、もう一度ローマ帝国の政治の舞台に出てきて、われわれを導いてほしい」と懇願されます。その時の彼の答えは、「私はキャベツの世話で忙しいから、ローマ帝国など構っていられない」と、きっぱり断ったのだそうです。

 この話の真否は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
信長軍団の戦い方(1)母衣衆と織田信長の残忍性
織田信長を支えた母衣衆に見る戦国のダンディズム
中村彰彦
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
技術と民生から見た明治維新(1)遠藤謹助
遠藤謹助―造幣局をつくった「造幣の父」
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(6)陰謀論とユダヤ人
ユダヤ人を巡る「陰謀論」の裏を読む…ロシア革命とユダヤ人
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
『孫子』を読む:地形篇(1)六地形の戦略を学ぶ
ベトナム戦争でホー・チ・ミンが学んだ『孫子』地形篇とは
田口佳史
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(1)米を食べる日本人と『分裂病と人類』
日本人の生きづらさの特徴は?~中井久夫著『分裂病と人類』
與那覇潤
天下人・織田信長の実像に迫る(10)本能寺の変・後編
本能寺の変前後で光秀に起こった突発的偶然と予期せぬ事態
柴裕之