軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
今も謎に包まれているアウレリアヌス帝暗殺の原因
軍人皇帝時代のローマ史~ローマ史講座Ⅹ(4)ガリア帝国とアウレリアヌス
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
260年代、ローマ帝国西部に大きな異変が起こっていた。「ガリア帝国」独立の動きである。これが静まると、アウレリアヌスという優れた皇帝が登場することになる。今回は、ローマ3世紀の危機を象徴する軍人皇帝たちについて語る。(全6話中第4話)
時間:10分56秒
収録日:2018年8月29日
追加日:2019年1月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●分離したガリア帝国がガリエヌスによって滅ぼされる


 260年代には、ローマ帝国の西部で、もう一つの大きな異変が起こっています。今のフランスを中心とする「ガリア」と呼ばれた地域に、ポストゥムスという皇帝のような人物が出てきたのです。もちろん正式に皇帝と認められたわけではありませんが、彼らはもうローマ帝国の属州を名乗りません。ローマ帝国内に、独立した別の帝国をつくろうとする皇帝たちが、ガリアを中心に出てきました。

 当時、正式にローマ皇帝だったのはガリエヌスです。しかし、ローマ帝国内にできたガリア帝国では、その内部で権力争いが起きます。10年ほどの間に5人の皇帝が殺されては出てきて、まるで権力争いによる軍人皇帝のシステムが出来上がっているかのようでした。

 分離したガリア帝国は、最終的にはガリエヌスによって滅ぼされます。別の形を取ろうとしたガリア帝国とともに、ローマ帝国からの分離運動もなくなってしまいます。

 結局、ローマ帝国全体としては軍人皇帝の時代が、ウァレリアヌス、ガリエヌス、クラウディウス2世と続いていきます。

 クラウディウス2世が疫病で亡くなった後はクィンティッルスという皇帝が出ます。彼はどうも人望がなかったのでしょう。軍人として期待されたほどの成果を挙げられなかったこともあり、精神的にかなり追い詰められ、最終的には自ら命を絶ってしまいます。即位したのは270年ですが、その後数カ月以内に、皇帝の地位についたまま自殺することになるわけです。


●「アウレリアヌスの城壁」をつくったアウレリアヌス帝


 その後、アウレリアヌスという皇帝が出ます。人間的にも非常に優れた面があったようですが、特に有名なのはローマに遺る城壁です。

 ローマの街に行くと、最古の「セルウィスの城壁」が最も内側にあります。紀元前5~6世紀に造られたので、きちんとした城壁というより、土を盛った土塁に近いものです。この城壁は、紀元5世紀まではずっと修復されて形を保っていました。

 しかし、軍人皇帝の時代、帝国の内部でもしょっちゅう軍隊同士の争いが起こるようになったので、ローマの街そのものもより堅固に防衛を固めなければならないというので、「アウレリアヌスの城壁」が外側に造られます。

 これは立派な城壁で、現在ローマに行って城壁として遺っているのは、全長約20キロにわたる「アウレリアヌ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に記された「媚態表現」の真相と人心掌握術
上野誠
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人