逆境に対峙する哲学
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
18世紀の禅僧・白隠は画を用いて各地で民衆を教化した。民間への浸透ぶりを伝える逸話の一つに赤ん坊をめぐる話がある。修行を積んだ禅僧ですら予期しない逆境に出会う。エスカレートしていく状況のいちいちに彼は「ああ、そうか」と応じた。状況を変えようとしない白隠の覚悟はどれほどのものだったのか。(全10話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:16分35秒
収録日:2025年7月24日
追加日:2026年1月10日
≪全文≫

●白隠禅師と赤ちゃんの話


五十嵐 板東先生に仏教のお話をするのもアレですが、白隠和尚という人がいるでしょう? 白隠和尚は今でもいっぱい語録が残っているような、すごく立派で偉いお坊さんだけど、ある村の住職をしていたときに、その村である女の人が子どもを産んじゃったの。その当時私生児を産むというのは大変なことだから、その娘のお父さんが怒って、「こいつの父親は誰なんだ!」って言ったわけ。でもほんとのことを言ったら自分の恋人が殺されちゃう、白隠和尚だって言ったら立派な人だから誰も殺さないと思って、「白隠和尚がお父さんです」と言ったの。

津崎 うん、なるほど。

五十嵐 そうしたら周りの村中の人たちが、「白隠和尚はあんな顔をして、実際はそんなひどい奴だったのか」と言ったのね。そうやってみんな、お寺に対して何も支援しなくなっちゃったの。そのとき、白隠和尚はそれを聞いて、「おお、そうか。」と言ったんだって。

 赤ちゃんが産まれると、娘のお父さんが赤ちゃんを連れてきたの。「この赤ちゃんはおまえの子どもなんだからおまえが育てろ」って。それにも「おお、そうか。」って。支援する人がいないとお寺にはお金はないのに、「おお、そうか。」と言って子どもを育てたんだって。そのうちに娘と恋人が悪いことをしたと思って、ほんとのことを言ったの。で、お父さんが「ごめんなさい」と謝って子どもを引き取ったのね。そのときもやっぱり「おお、そうか。」と言った。すごく大変なことじゃない? もう逆境じゃない? なのに、そのときそのときに「おお、そうか。」って受け入れるんだよね。

津崎 それが、百姓(農民)が起きることに対してなすがままに、自然に沿って生きているのと同じだということ?

五十嵐 それだけじゃなくて、そんなにえらい白隠和尚のような人であっても、やっぱりプラン(見通し)というのはあるんじゃない? ところが、思いもかけないようなことでそれが破られるわけじゃない? そのときには(やっぱり)驚くんだけど、「おお、そうか。」と受け入れる。カボチャを割ったときに虫が出てきたのと同じように「おお、そうか。」と言って受け入れる。そうしたら次にもっとひどいことが起きて、思いもかけないことが起きてきて、それでもまた「おお、そうか。」って言う。


●自らの思いが...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(3)孤食リスクと加齢に伴うホルモン変化
「孤食」が危ない…独身男性の一人の食事はうつのリスク2倍以上に
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(2)どうすれば好循環が生まれるか
「お客様のため」に心が向かうとイノベーションも起きる
田村潤
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉