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なぜ毎日練習したくなるのか?大谷翔平の目標に向かう力

大谷翔平の育て方・育ち方(8)目標に向かう力

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
概要・テキスト
大谷翔平
出典:Wikimedia Commons
「まずやってみる」――この精神を大切にしている大谷翔平選手は、つねに自分の可能性を更新している。それは、縦横無尽にアンテナをめぐらせ、どんなことも野球に結びつけ、いいと思ったらやってみる、その「伸び幅」を自身の才能だと考えているからだ。技術が変われば体も変わり、それに応じてまた技術を変化させる。変化=成長の確信があるから変化を恐れず、そのための閃きを逃さないよう日々練習に励むのである。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17:30
収録日:2024/11/28
追加日:2025/04/21
≪全文≫

●「やってみる」姿勢が伸び幅を広げる


―― 続きまして、【大谷翔平の目標に向かう力】です。1つ目は、「『まずやってみる』を大切に。変化を日常に」というところですね。

桑原 そうですね。この中にもいろいろ出てきますが、結局大谷選手は自分の可能性をどこまでも追い求めたいし、自分の才能を2番目の項目にあるように「伸び幅」だと言っています。

 そして、どうしたら伸び幅があるかというと、結局いつも野球について「こういうことをやったらどうだろう」と考えていたし、子どもの頃からいつもYouTubeで野球選手たちを見ていた。見て、「これがいいな、あれがいいな」と思うと、すぐに練習でそれをやってみたと。そうすると、当然フィットすることもあるし、向かないこともあるのですが、この人の場合、最初からノーはないわけです。とりあえずいいと思ったら、まずやってみる。

 やってみた上でいいと思うのは取り入れ、駄目なら捨てていく。ただし、その捨てたものも、「もし体が大きくなったらできるかもしれない」と(いうこともある)。日本人の場合、よく言われるのは「やってみる」ことが最も少ないということです。「やって失敗したら、どうするの」というのですが、この人は失敗を恐れません。

 日ハム時代も、「練習をしているところをマスコミに見られたくない」と言っています。なぜかというと、失敗の練習、つまり凡打を打つ練習をしていたからというのです。コーチも最初は、なぜそんなことをするのか分からなかったらしいのですが、「打ち損ないはどうしたら起きるのか」ということを一生懸命試すので、それを見られるのは嫌だというのです。見られると、「大谷は不調だ」とか「おかしなことをしている」と言われる。自分はマスコミにはちゃんと対応するけれど、それは嫌だから室内練習場で試しているところは見られたくないと言っています。

 今でも大谷選手が外で打つと、すごい飛ばし方をするので、ショーになってしまうのです。そういうふうにショーをやりたくないから、あまり外ではやらないのですが、とにかくなんでも試してみる人らしいのです。

 メジャーリーグでもそうで、ある選手の打ち方が気になったら、次の打席でやってみるということが平気でやれる。普通は無理なのです。(調子が)くずれますから。ですが、彼はいいと思...
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