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儒教の考え方…中国人の性格を形づくる政治学と家族道徳

宗教で読み解く世界(4)中国と儒教の世界

橋爪大三郎
社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授
概要・テキスト
孔子が考えた儒教は、当時いろいろな考え方、やり方がある中で勝ち残っていく。では儒教が強かったのはどんな点なのか。儒教は中国社会でどのような役割を果たしているのか。現代の中国にも引き継がれている儒教の考え方について解説する。(全5話中第4話)
時間:09:21
収録日:2019/01/21
追加日:2019/06/09
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≪全文≫

●中国の本質に関わる儒教・儒学


 橋爪大三郎です。今日は中国、そして儒教についてお話ししましょう。

 中国には、儒教の他に道教や仏教もあるわけですが、やはり、その中では何といっても儒教が一番大事です。昔は儒学といい、儒学が中国をつくった、あるいは中国が儒学をつくった、どっちともいえるのですが、中国の本質に関わるのが儒学だと、このようにいえると思います。

 さて、儒学についてですが、昔、孔子という人がいて、その孔子が元祖ですから、孔子がどういう人だったかということを少しお話ししましょう。それから、儒学が中国社会でどういう役割を果たすのかということをお話しします。


●時代は周王朝から春秋戦国時代へ


 最初に、孔子という人についてですが、実在した歴史上の人物で2500年ほど前にいたのではないかと思われます。当時は春秋戦国時代になりかかる頃です。その頃、周という王朝があったのですが、その末期です。周は中国の3つ目の統一王朝で、周の前に夏(か)、次に殷(いん)という国がありました。ただ、殷は中国では「いん」といわず、商(しょう)という国になります。

 そして、3つ目の王朝が周です。その周ですが、はじめは調子が良かったのが、だんだんだんだん盛り下がって、各地に王様のような人々、諸侯という人が出てきました。日本の戦国時代と似ているわけですが、天下統一をうかがって戦争するという時代になっていったわけです。そうした時代になりかかっていた頃のことです。


●青銅器から鉄器への転換が社会変化をもたらした


 ではなぜ、周の王朝の調子が悪くなり、各地に諸侯が出てきたのか。一言でいうと、戦争の仕方が変わったからです。周は青銅器時代にできた国で、刀とか甲冑とか、いろいろなものを全て青銅で造っていたのです。青銅は銅とスズの合金で、どちらも非常に希少な金属で値段が高いため、皆に行き渡らない。そこで、ごく一部の人が青銅(ブロンズ)で武装して、大体戦車という馬に引かせる車に乗って、平らな場所を走り回ります。これがすごく戦闘力があり、歩兵はやられてしまいます。歩兵はスピードが遅いので、ほとんど意味がなく、ごく一部の武装した人間が軍事力を独占し、ついでに政治力も握ることになります。これが青銅器時代なのですが、こうして出来上がる社会が貴族制になります。

 ところが、だんだんと鉄が普及して...
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