宗教で読み解く世界
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ヒンドゥー教と密接不可分なカースト制の特徴と問題点とは
宗教で読み解く世界(3)ヒンドゥー教とカースト制
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
インド最大の特徴はヒンドゥー教と密接不可分な関係のカースト制にある。支配階級、被支配階級を明確に区別し、社会の基本単位としてジャーティという多数の職業集団を規定している。この一見閉鎖的なカースト制を、橋爪大三郎氏は「古代のイノベーション」と見なす。それはなぜか。ヒンドゥー教の意味とともに解説する。(全5話中第3話)
時間:12分14秒
収録日:2019年1月21日
追加日:2019年6月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●バラモン教が生みだした先住民支配のための作戦


 橋爪大三郎です。今日はヒンドゥー教について、お話ししましょう。

 ヒンドゥー教は、インドにある宗教です。「ヒンドゥー」とは「インドの」というような意味なので、ヒンドゥー教は広い意味でいうとインドで生まれた宗教ということになり、インドにある宗教は全てヒンドゥー教です。一方、狭い意味でいうと、仏教は違います。ジャイナ教も違います。シク教も違います。イスラムは外から入ってきましたから、それももちろん違うのですが、そのようなものを除いて残ったのがヒンドゥー教、ということにはなります。ただ、ヒンドゥー教はどこまでを指すのかというのは、なかなか曖昧なのです。

 歴史的にいいますと、昔々にはバラモン教というものがありました。これは3000年から3500年ほど前にアーリア人という外国人がインドに入ってきて、自分たちの宗教を持ち込みました。それがバラモン教です。アーリア人はギリシャ人だと思ってください。ギリシャの宗教は多神教です。ですから、アーリア人の持ち込んだ宗教は多神教だったので、多神教が持ち込まれたということです。

 しかし、入ってきたアーリア人は人数が少なく、もとから住んでいた住民の方は多かったのです。そこでどうしたか。自分たち(アーリア人)は支配階級に居座ろう。そして、先住民をその下っ端、つまり身分が低い人たちにして、この身分の違いがひっくり返らないようにしよう。こういう作戦を立てたわけです。


●インドの本質を形づくるカースト制の特徴


 これがカースト制というものなのですが、そのうちの上の2つにバラモンとクシャトリヤがあり、これが支配階級です。それから支配される側には、ヴァイシャとシュードラがあります。そして、その下にアウトカースト、今はダリットというような名前ですが、そういう人々もいる。つまり、4つないし5つのグループ(階級)があるということです。

 普通、本にはこのように書いてあるのですが、インドの考え方をもう少し詳しくいうと、カースト制は2段階になっていて、今、言った4つのグループを「ヴァルナ」といいます。ヴァルナとは普通、「種姓(シュセイ)」といいます。これが4つあります。その下に「ジャーティ」があります。ジャーティとは「職業集団」とでも訳しておけばいいかと思いますが、社会の基本単位になるような特定の職業...

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