コロナ禍で揺れる世界経済の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界中がコロナ不況で苦しむ中、台湾がプラスになる理由
コロナ禍で揺れる世界経済の行方(7)アジアの課題
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
新型コロナ対応において「優等生」と目される国はアジアに多い。その例として、韓国、シンガポール、台湾などが講じた手法を日本も含めて振り返ってみよう。アジア諸国のこれからの課題は、第二波への備えということになりそうだ。(全9話中第7話)
時間:11分29秒
収録日:2020年6月15日
追加日:2020年7月14日
≪全文≫

●韓国の新型コロナ対応と新たなクラスター発生


 アジアに目を転じて、まず韓国。これまでは(感染症対策の)優等生といわれていました。韓国の特徴は、大規模なテストと綿密な追跡で感染の鎮静化を図ってきた点です。韓国は、コロナウイルス・テスト・キットを迅速に開発して、生産ラインに乗せましたので、2月頃には世界で最大級のテストを行っています。

 テスト方式としてドライブスルーを取り入れたのも、韓国の医師が最初です(さすがにアメリカは、すぐそれを活用しましたが、日本は遅れました)。感染確認と隔離が非常に大きな効果を表し、韓国は収束にかなり成功したわけです。

 韓国には強力な司令塔があります。「疾病管理本部」という名前で常設されており、省庁級の力を持っています。韓国の感染症予防法に基づいて、緊急事態には政府の各部門の対応を要請できる法的権限を持っている。言い換えれば、政府に命令できる権限があるということです。

 4月15日、韓国では総選挙がありました。開票結果は、文在寅率いる与党(「共に民主党」)が定数300の6割を占める180議席を獲得する大勝利でした。これは、与党のコロナウイルス政策が支持されたためと見られています。

 そのように大成功したと見えた韓国のクラブで、5月にクラスター感染が判明しました。その大半がLGBTのコミュニティの人々だったため、プライバシー問題がなかなか大変でしたが、当局は2週間で4万6000件の検査を実行し、徹底したIT活用により、懸命に第二波阻止へと動いています。5月29日、首都圏での外出自粛が要請され、6月11日の時点でも続いていました。これだけの優等生でもやはりそういうことが起きるということです。


●シンガポールの俊敏な対応と偏在する第二波の事情


 シンガポールも、世界の(感染症対策の)優等生といわれています。2020年1月2日という早い時点で、武漢での新型肺炎のクラスターについて、シンガポールの厚生省が報告を出しています。その翌日から、シンガポールのチャンギ空港は入国者への体温測定実施など、徹底的なチェックを始めます。シンガポール大学を含む多くの施設が政府の指定により感染者を受け入れるようになり、研究機関も猛烈に研究を始めました。世界で最初の感染追跡アプリ「Trace Together」を開発したことでも知られています。

 ところが、その優等生とされていたシンガポールで、4...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦