新型コロナウイルスによる世界変動
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ウイルスという共通の敵に立ち向かう上で大事な6つの要素
新型コロナウイルスによる世界変動(7)国際協力に向けて
小原雅博(東京大学名誉教授)
ウイルスの感染拡大に対する各国の対応が分かれたのは、選挙等の政治的思惑が絡んでいたからでもある。こうした事情を超え、ウイルスという共通の敵に対して国際協力を行っていくことが求められる。そのためには大事な要素が6つあるという。それはどんなことなのか。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分27秒
収録日:2020年4月3日
追加日:2020年5月9日
≪全文≫

●各国における情報の透明性をどれだけ担保できるのか


―― 難しいところですが前回、国際協調の重要性を今お話しいただきました。そうすると、国際協調をしていくためには、それぞれが情報をどの程度オープンにしているかが問題となります。その辺りの信頼性を今後担保できるのでしょうか。むしろ今回の問題で、この点が傷ついてしまったのではないでしょうか。

小原 感染症との戦いにおいては、やはり政治やイデオロギーを入れてはならないと思います。感染症の問題がなぜ毎回のように起こってくるかというと、感染症そのものにも問題があるのですが、感染症の専門家によると、ウイルスは変異するので必ずといっていいほど新しいウイルスがまた出てくるということです。

 しかし、政治家も大衆も、ウイルスを一過性のものだと捉え、一度終息すると忘れてしまいます。そのため、同じ過ちを繰り返さないようにすることを意識し、専門家だけでなく政治家や大衆も一緒になって、次の感染症の襲来に備えることが重要です。われわれがそれにどう立ち向かうべきかということについて、共通の認識を持つプロセスを、必ずつくったほうがいいでしょう。


●感染症の問題に立ち向かうための大事な6つの要素


小原 この問題に関しては、幾つかの大事な要素があります。第1に、スピードです。第2に、まさに今おっしゃった情報の透明性です。第3に、科学に基づいたコミュニケーションです。やはり正確性が重要だからです。例えばデマの問題があります。WHO事務局長も、デマの問題を非常に恐れており、これが走り回ると、むしろ有害になります。しかしどの情報が正しいのか分からず、国民のなかでも不安になることもあるでしょう。これについては、専門的な知見を持った科学者の意見に基づいて、コミュニケーションをしていかなければなりません。

 例えば、武漢で亡くなった若い医師である李文亮さんは、2019年12月末に、この感染症の危険性を訴えましたが、それが届かず当局によってデマだと見なされました。こうした声がデマなのかデマではないのかについて、一般大衆は判断できません。

 今回のケースを通じて、どうやって正しい情報を速やかにシェアできるのかを考え、そのための社会づくりをしていく必要があることが、一層明らかになりました。現代では情報化がものすごく進んでおり、ネットを開けば山のような情報があり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治