新型コロナウイルスによる世界変動
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
感染症に打ち勝つためには国際協力の強化が不可欠
新型コロナウイルスによる世界変動(6)終息後の世界
小原雅博(東京大学名誉教授)
ウイルスの感染拡大が終焉を迎えた世界には何が訪れるのか。注意すべきはデカップリングとナショナリズムの高揚による、国際社会の分断である。さらなる未来のウイルス感染に対峙すべく、国際的な協力体制を確立しなければならない。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分46秒
収録日:2020年4月3日
追加日:2020年5月6日
≪全文≫

●ウイルス問題終息の先にある米中のデカップリング


―― 非常に難しいのは、まさに世界的な大流行になってしまったので、終息時期が国によって変わってくる点です。中国は、とりあえず一旦終息したと判断し、宣言に向けて動いています。もちろん第二波、第三波の可能性はあります。日本は、4月上旬の段階で抑え込んできたものが、今後どうなっていくのかという問題もありますし、ヨーロッパやアメリカの拡大も注視する必要があります。さらに言えば、今はあまり取り上げられていませんが、南北問題ともいうべきか、途上国への波及も考えられます。

 こうした世界全体で見た今後の展望はどのようなものなのか、それに対して日本はどのような手を打っていけば良いのかについて、ご意見を頂ければと思います。

小原 この問題は、米中関係に引きつけていえば、「デカップリング」といわれる現象に関わります。アメリカからすれば、中国の台頭ということで、中国との間では5Gなどに象徴されるような技術的覇権をめぐる闘争があります。ハイテク技術が経済面だけでなく、軍事的・安全保障的にも大きな役割を果たすようになってきています。

 アメリカは現在、日本を含めた同盟国やパートナー国に、ファーウェイやZTE (中興通訊)のような中国企業に対してアメリカのテクノロジーを使わせないよう、要請してきています。こうした米中間でのデジタルなデカップリングが、感染症が起こる前から動いていました。これが、今回の感染症で進んでしまう可能性があります。これは、ソーシャル・ディスタンスにも関連します。社会の根底でも、距離を置くということがあるわけです。

―― まさに、中国からサプライチェーンを引き上げるということも含めてということでしょうか。

小原 そうですね。中国をサプライチェーンに入れないということが、本当にできるのかという点もありますが、ハイテクの世界ではすでに始まっています。しかし、医薬品では可能なのか、可能だったとしても実際に実現したらどうなるのか。アメリカの慢性病を抱えている人たちは、薬を失うことになるため、実際上そんなことはできないと思います。にもかかわらず、そうした議論をする人たちはいます。さまざまな議論があるなかで、今後気をつけて見ていかなければならないのは、こうしたデカップリングです。


●ナショナリズムの高揚による国際社会の分断

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
田口佳史