●感染症による危ない病気は近年発生したものばかり
ここではまず感染症について話をしたいと思います。
厚生労働省は感染症を類型分けしていて、1類、2類、3類、4類があります。これらは大変な感染症として位置づけられていて、1類、2類の場合、本人を入院させる、あるいは物を消毒します。中でも1類は交通制限をかけるなど、ある種の措置をしないと危ないと思われているものです。3類の場合、就業制限をする、または触ったものを消毒します。4類の場合、動物への措置も含め、消毒をしなければいけないというものです。
こういう怖い分類がありますが、これ以外に、入院、消毒、交通制限、就業制限などいろいろなことを総動員しないといけないと思われた場合、指定感染症になります。新型コロナウイルスはこれに当たります。
1類、2類、3類、4類にはどんな病気があるかというと、エボラ(出血熱)やクリミア・コンゴ出血熱、天然痘、ペストなどいろいろあります。病原体が何であるか、人獣共通か、媒介するのは何かなどをまとめた表を作りました(上表)。
見てほしいのは、そういう病気が最初に見つかって大変になったのがいつ頃かということです。エボラ(出血熱)は1976年です。クリミア・コンゴ出血熱はクリミアで1944年、コンゴで1956年です。マールブルグ熱(マールブルグ病)は1967年です。ラッサ熱は1969年です。古いものでは、天然痘が1万年ぐらい前から、ペストが2500年ぐらい前からということが、いろいろな記録から分かっています。つまり、この表で言いたいのは、危ない病気のほとんどは最近起こったものだということです。
感染症2類も、ポリオ(急性灰白髄炎・小児麻痺)などいろいろな病気があります。結核が1万年ぐらい前にありました。あとは、SARS、MERSはどちらも2000年に入ってからです。
3類のコレラは、1817年のインドが最初です。細菌性赤痢はたぶん1万年前だといわれています。
4類にもいろいろあります。キツネなどが罹ったりして人獣共通のエキノコッカス症(エキノコックス症)や黄熱病も古くからあります。あとはいずれも1900年代です。
ハンタウイルス病(ハンタウイルス感染症)は古来よりありましたが、その他はどれも1870年代から1900年代にかけて最初に出てきました。全部合わせると4類は結構たくさんあるのですが、いずれも1900何年という数字が並んでいます。
●100年で急増――都市文明が疫病を激化させている
厚生労働省が指定している危険な感染症34の内、ウイルスによるものは28、ヒトと獣の両方に感染する人獣共通感染が24です。最初の記録またはパンデミックがあったのは、20世紀以降のもので少なくとも25あります。
感染症の危機は、この500年で増加して、この100年で急増しています。原因は、たくさんのヒトが集まって住んでいるからです。感染症の危険度がどれくらいかは、宿主になっている人類の免疫を含む遺伝的構成、病原体のタイプ、またそのヒト個人の栄養状態は良いか、年齢はいくつか、どういう行動様式かに左右されます。たったの100年間では、人類の遺伝的構成は進化しません。仮に25年で世代交代をするとして、100年で4回しかチャンスがありません。ということで、私たちは昔のままの遺伝子でそうした病気を何とか押し返しているのです。
500年で増加し100年で急増するのは、都市文明が疫病を激化させているからです。環境を破壊して、いろいろな動物と接触するようになりました。さらに、密集して人が住むようになったことも当然、要因となっています。
●生活習慣病を防ぐために大切なこと
さて、次は生活習慣病です。
これについては、いろいろな研究がたくさんあります。歩かない、運動しない、一定の姿勢で仕事を続けることが、まず一番良くないことです。その次が、でんぷんや糖類などの甘いものに偏った食物をたくさん取ることです。最近は超加工食品があります。パッケージなどの裏を見て、含まれているものがいっぱい書いてあるのが超加工食品です。それから、いろいろな形をしていますが、きちんと成形されているようなものは“超加工”されているのです。そういった超加工食品の食事はよくありません。
それから、あまり気にしないかもしれませんが、陽に当たらない、夜遅くま...