進化医学からみた現代の病気
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
進化的に「おかしい」現代生活…人間にとって良い食事とは
進化医学からみた現代の病気(3)食への影響と人類学からの提言
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授/日本芸術文化振興会理事長)
人類の進化において、食事はどのような影響を与えてきたのか。現代では、生活習慣病とも密接な関係のある超加工食品の健康被害や、食料生産における環境汚染も指摘されている。ヒトにも地球にも優しい持続可能な食環境の改善・整備が求められている。(全3話中第3話)
時間:7分19秒
収録日:2021年11月15日
追加日:2022年1月18日
≪全文≫

●ヒトは本当に食べられるものを何でも食べてきた


 また、食事も大切です。(表に)チンパンジーが何を食べているか、そしてヒトが何を食べているかの両方の割合を挙げました。

 チンパンジーは基本的に果実をもぎ取って食べています。一方で狩猟採集民だった現在のヒトは、北方のイヌイットとエスキモーなど、ほとんど植物が生えていないようなところに住んでいる人から、赤道直下の熱帯雨林の中に住んでいる人や、砂漠に住んでいる人など、いろいろな人がいるのでばらつきがあります。ただ、どの狩猟採集民も肉が29~79パーセントです。北方の北極圏内に住んでいる人は、ほとんど植物食がないので、根っこや、種子、ナッツ、果実が0という集団はあるのですが、多いところでは、芋などの根茎が37パーセント、種子やナッツなどが58パーセント、果実が40パーセントです。お肉や根菜的なものが特に多いのです。チンパンジーと比べると、ヒトは本当に食べられるものを何でも食べてきたことがよく分かるかと思います。

 肉食あるいは脂肪食のために、特にペプシノゲンやアポリポタンパクeが進化しているので、本当に肉と脂肪食をたくさん食べてきたようです。

 それから、デンプンに関しても、地面から掘り出した根っこなどを良く食べることから、AMY1遺伝子(アミラーゼ遺伝子)が結構進化しています。


●持続可能な食料生産と食生活を考える


 そういう背景があるのですが、今の食事はずいぶんと変わってしまいました。どんな食事がいいかは一概にはいえませんが、いろいろな種類のものをたくさん食べることが大切です。また、野菜、食物繊維、ナッツ、魚介、それから発酵したものは体に良いですね。

 とはいえ、あまり気にする必要はないというのが総論だと思います。欧米ではいろいろな運動があって、1日野菜5皿運動などもあるらしいですが、そうやってあまり細かく気にする必要はないようです。たくさんの種類のもの、特にナッツや食物繊維を食べるのがとても良いのです。そして、先ほどもいいましたが、超加工食品はよくありません。

 最後に、肉をたくさん食べるといいましたが、ヒトが肉食で進化したのはその通りです。ですが、現代の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
“膝の痛みの名医”が語る(1)変形性膝関節症とは
膝の痛み…変形性膝関節症に有効なのは「運動療法」
黒澤尚
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(1)健康な睡眠のための方法
どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?
西野精治
最強の臓器「皮膚」のふしぎと最新医療(1)かゆみのサイエンス
「かゆみ」の正体を科学する!最新研究で迫る皮膚の仕組み
椛島健治
男性医学とテストステロン(1)リーダーと男性ホルモン
チャレンジ精神、神経ニューロン、認知症にも影響!?
堀江重郎

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎