習近平―その政治の「核心」とは何か?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
西側とは全く違う、中国の「民主」の概念とは何か
習近平―その政治の「核心」とは何か?(5)中国の国内情勢と対外政策
小原雅博(東京大学名誉教授)
中国政治の歴史は、「収(集権化)」と「放(分権化)」を繰り返しており、習近平政権では「収」が進んでいる。外交政策においては、ナショナリズムを背景として、強硬路線を続けており、欧米を中心としたリベラルな国際秩序との関わりが注目されている。習近平政権についての深掘り編講義・第4話。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分21秒
収録日:2021年7月7日
追加日:2021年11月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●「収」と「放」の循環


―― 強い中国という話がありましたが、最近世界的に注目されているのが、中国の強権的な面です。昔から中国の場合、チベットなど、各地をいろいろ弾圧しているのではないかという話がありました。アメリカなどに言わせると、今まさに新疆ウイグル自治区で行われていることは、虐殺ではないかという意見があります。

 あるいは、イギリスなどを中心にして、香港に関するいろいろな措置に対して反感が高まっていると思います。確かにチベットのやり方などを見ていると、昔からの話ではあるので、これが中国共産党の伝統的な姿にも思えるのですが、これは習近平になって強まったものなのでしょうか。先生はどのようにご覧になりますか。

小原 毛沢東の時代に「収」と「放」という言葉があり、そういう意味でいうと、「収」がかなり進みました。「収」は「収斂する」、「収める」という意味です。ある意味で毛沢東にキューッと全ての権力を集中していき、それによって弊害が起きました。先ほど言ったように、鄧小平の時代には、それを改めます。つまり改革開放自身がある意味で「放」なのです。「放」は「放つ」です。つまり中央に全てを集中するのではなくて、もっとこれを下に、権力を下放していきました。要するに分散していきました。みんなの自主的な意欲や能力を引き上げることによって、経済を活性化しようということです。

 そういう意味で言うと、中国は「収」と「放」の繰り返しなのですが、やはり1989年の天安門事件は非常に大きな転機だったと思います。あそこがある意味での絶頂でした。

 文革が終わり、ある意味で政治改革というか、民主化のような流れが出てきました。鄧小平としても、それが社会の安定でした。中国では「社会の安定は全てを圧倒する」という言葉があります。あれだけ広い国で、あれだけの人口を持っている国ですが、歴史を見れば本当に乱れています。やはり一番怖いのは乱れるということで、鄧小平からすれば一番のワーストシナリオでした。そういう意味でいうと、とにかく社会の安定を保つためにあの天安門で軍を導入して、武力鎮圧したのが一つの転換点だったということです。


●中国ナショナリズムの興隆


小原 だから、あそこから少し保守化したのにも、その流れがあります。もちろん、胡錦濤政権のときには少しまだ期待があったので、アメリカを中心に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦