新型コロナウイルスによる世界変動
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
石油価格暴落の背景には3大石油大国の覇権争いがある
新型コロナウイルスによる世界変動(3)世界経済への影響
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
コロナウイルスがもたらした世界経済への悪影響として、グローバルなサプライチェーンに対する打撃がある。世界中で部品が製造されている以上、どこかで生産が止まると製品の供給が止まってしまう。さらに、そこに2つの大きな悪い要素が重なっている。石油価格暴落とアメリカ株式市場の暴落だ。そこには、感染症の問題とは違った要素があるという。それは何か。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分49秒
収録日:2020年4月3日
追加日:2020年4月22日
≪全文≫

●グローバルなサプライチェーンにほころびが見られる


小原 世界経済については、どの国にもある共通の問題として、感染症が及ぼす影響を考える必要があるでしょう。1つはデマンドサイド(需要側)で、もう1つはサプライサイド(供給側)です。

 デマンドサイドについては、先ほど説明した通り、すでに非常に落ち込んでいます。サプライサイドは、グローバルなサプライチェーンができています。このサプライチェーンが、いろいろな点で非常に大きな影響を受けています。例えば、アメリカでは現在、医薬品の需要が非常に高まっています。しかし、ある統計によれば、一部が医薬品であるものも含めるとその80パーセントが中国と関係しているということです。そう考えると、もう貿易戦争などやっている場合ではないのです。

 ドナルド・トランプ大統領も、こうした製品については関税を下げると言いましたが、サプライチェーンは、いろいろなところでいろいろな物を作り、それを合体させることで成立しています。そのため生産を増やそうとしても、ある工場に人が戻らず、サプライチェーンの一部分がストップしてしまうので、求められる十分な量を作れません。

 例えば人工呼吸器がそうです。アメリカのPhilipという会社が作っているのですが、これは巨大メーカーです。世界中にサプライチェーンがあり、いろいろなものを作り、それを全部合わせて最終的に人工呼吸器ができます。しかし現在、これがなかなか作れない状況にあるというのです。トランプから増産せよと言われても、サプライチェーンのどこかで引っかかってしまうと、作れないのです。こうしたサプライチェーンの問題は、ある種のディスラプションです。


●サプライチェーンの破綻に政府や企業はどう対処するか


小原 実は先日も、日中韓でテレビ会議を行いました。私は日本側で参加したのですが、トヨタを含めた日本の自動車工場は、現在休業しています。その原因の1つは、中国からの部品が届かないためです。ここでもサプライチェーンができています。韓国の自動車産業も同様です。

 ですから問題は、どうやって中国にある自社工場、東南アジアにある工場、そして自国の工場によってできているサプライチェーンを動かすのかということです。これを解決するのが重要になっています。数年後に同じような別のウイルスによる問題が起こったときに備えて、政...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(2)神々のささやく世界
「神々のささやく世界」では神々の声が行動を決める
本村凌二
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規