新型コロナウイルスによる世界変動
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
回復の途上にある中国経済が抱える不安要素とは
第2話へ進む
ウイルスの抑え込みと経済の正常化はトレードオフの関係
新型コロナウイルスによる世界変動(1)2つのアジェンダ
小原雅博(東京大学名誉教授)
コロナウイルスの世界的な拡大によって、世界はどのように変わっていくのか。各国の状況を見ると、政治体制ごとで異なる施策と成果がもたらされている。しかし、どの国も共通して、ある種のジレンマを抱えている。(全7話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分54秒
収録日:2020年4月3日
追加日:2020年4月15日
≪全文≫

●世界では爆発的にコロナウイルスの感染が広がっている


―― 皆さま、こんにちは。

小原 こんにちは。

―― 本日は、東京大学大学院法学政治学研究科教授の小原雅博先生に、今般のコロナウイルスについて、今後、世界がどうなっていくのかという視点から、講評を頂きたいと思います。先生、どうぞよろしくお願い致します。

小原 よろしくお願いします。

―― 今回、問題がかなり大きくなっています。2020年2月に、小原先生と曽根泰教先生で講演会をしていただきました。その内容は、10ミニッツTVで配信しているのですが、その時はまだ、主な症例は中国でした。現在では、これが一気に世界に拡大し、大変な状態になっています。本質的な部分として、現在の状況につき、小原先生はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

小原 WHOは毎日、全体的な感染数や死亡者数を報告しています。それを見ると、明らかに状況は一変してきています。前回(講演会の時に)お話しをした際には中国が中心でした。それが一気に世界に広がり、数字でいえば世界が圧倒的に多くなってしまっています。

WHOは毎日のようにデータを出していますが、グラフで見ると、最初の山は中国でした。この時点でも、世界は驚きました。

 中国の感染者は少しずつ少なくなっていったのですが、その後、他の国で増えていきました。ヨーロッパとアメリカです。これが今、急激に拡大してきています。本当の意味でパンデミックです。

 2020年3月11日に、WHOがパンデミックを宣言しました。それに対して中国では、終息に近づいています。しかし同時に、世界では爆発的に感染が広がっているという状況です。この現状に対して世界はどう対応していくのか。


●政治体制によって感染への対応が違っている


小原 例えば専門家は、対応が政治体制の違いによって異なってくるのではないかという議論を始めています。中国政府は当初この問題に、うまく対応できませんでした。情報を隠蔽し透明性や公開性を欠いていたからです。こうした体制の下では、SARSの時(2003年)と同様に、初動対応が遅れます。その欠陥を、政治家を含めた西側の専門家は批判していました。

 しかし、感染が世界に広がった今では、民主主義体制の下にある先進国政府も、実はうまく対応できていないのではないかという疑念...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史