●世界では爆発的にコロナウイルスの感染が広がっている
―― 皆さま、こんにちは。
小原 こんにちは。
―― 本日は、東京大学大学院法学政治学研究科教授の小原雅博先生に、今般のコロナウイルスについて、今後、世界がどうなっていくのかという視点から、講評を頂きたいと思います。先生、どうぞよろしくお願い致します。
小原 よろしくお願いします。
―― 今回、問題がかなり大きくなっています。2020年2月に、小原先生と曽根泰教先生で講演会をしていただきました。その内容は、10ミニッツTVで配信しているのですが、その時はまだ、主な症例は中国でした。現在では、これが一気に世界に拡大し、大変な状態になっています。本質的な部分として、現在の状況につき、小原先生はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
小原 WHOは毎日、全体的な感染数や死亡者数を報告しています。それを見ると、明らかに状況は一変してきています。前回(講演会の時に)お話しをした際には中国が中心でした。それが一気に世界に広がり、数字でいえば世界が圧倒的に多くなってしまっています。
WHOは毎日のようにデータを出していますが、グラフで見ると、最初の山は中国でした。この時点でも、世界は驚きました。
中国の感染者は少しずつ少なくなっていったのですが、その後、他の国で増えていきました。ヨーロッパとアメリカです。これが今、急激に拡大してきています。本当の意味でパンデミックです。
2020年3月11日に、WHOがパンデミックを宣言しました。それに対して中国では、終息に近づいています。しかし同時に、世界では爆発的に感染が広がっているという状況です。この現状に対して世界はどう対応していくのか。
●政治体制によって感染への対応が違っている
小原 例えば専門家は、対応が政治体制の違いによって異なってくるのではないかという議論を始めています。中国政府は当初この問題に、うまく対応できませんでした。情報を隠蔽し透明性や公開性を欠いていたからです。こうした体制の下では、SARSの時(2003年)と同様に、初動対応が遅れます。その欠陥を、政治家を含めた西側の専門家は批判していました。
しかし、感染が世界に広がった今では、民主主義体制の下にある先進国政府も、実はうまく対応できていないのではないかという疑念...