世界の新型コロナ対応を俯瞰する
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
台湾が新型コロナ問題で示した「自由で民主的な体制の対応力」
世界の新型コロナ対応を俯瞰する(2)アジア諸国の対応
過去に類を見ないウイルスの蔓延に対して、アジア諸国、特に台湾がうまく対応して抑え込みを進めることができたのはどうしてなのか。それにはITインフラの整備状況や隣国との関係、政治体制の違いなどが関係している。(全6話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11分28秒
収録日:2020年4月9日
追加日:2020年5月16日
≪全文≫

●台湾が新型コロナ問題にうまく対応できた要因はどこにあるのか


―― 今回の新型コロナウイルスは、「未知との遭遇」のようですね。

小原 ええ。

―― 過去に起こった問題であれば、AIで解答が引き出すことができますが、今回の問題はこれまでとは全く違い、しかも状況が刻々と変わります。ウイルスについても、武漢のウイルス、イタリアのウイルス、ニューヨークのウイルスで、おそらく進化の度合がそれぞれ違うだろうといわれています。しかも、第二波、第三波という感じで再び戻ってくるかもしれません。

 その中で、中国とものすごく距離が近く、行き来が一番あった台湾が、今回は非常にうまく封じ込めを行いました。これは37歳の天才的なIT担当大臣や衛生福利部長(日本の厚生労働大臣に相当)の存在が大きいのでしょうか。中国への行き来も多いので、情報が入っていたということもあるのだと思うのですが、台湾がうまくいった要因は、どのように総括できるのでしょうか。

小原 台湾は、ある意味で中国をものすごく意識していると思います。国際政治的に起きているのは、パワーバランスの変化です。習近平国家主席は、明らかにアメリカとの覇権争い等、国際的なパワーバランスの転換を模索しています。特に台湾海峡をめぐっては、今や中国はアメリカがバックアップする台湾の軍事力を圧倒しており、かなり優位に立っています。そうした中で、習近平氏は2019年1月の年頭スピーチでも、いまだに武力による統一を捨てていないことを強調しました。そのため、中国は独立志向のある台湾の民進党(民主進歩党)政権に圧力を加えています。

 一方で台湾側は、中国とは違った自分たちのレジリエンスを模索しています。中国で何が起きているのかをよく見ながら、生き残り戦略を考えているのです。

 コロナ問題は、そうした中で生じました。そのため台湾は、コロナに対して中国がどのような対応を取ってきたのかを徹底して観察していると思います。その意味で、蔡英文氏はやはり非常にスマートでした。要するに、台湾では中国のような感染の拡大を絶対に起こさないために、いろいろな配置をしたのです。

 特に今おっしゃったように、枢要なポストに能力や経験のある人をすぐに配置して、それによって迅速にオペレーションを展開したことが、成功の要因だと思います。こうしたとき、リーダーにとって難しいこととし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一