台湾有事を考える
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
大国主義を鮮明にした中国による「3つの列島線」
台湾有事を考える(2)台湾問題緊迫化の歴史的背景
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
半世紀前、米中は国交回復を果たした。アメリカはその後、中国の主張する「一つの中国」の原則は認めつつも、台湾関係法を成立させて台湾との関係も深めていった。しかし、ますます独裁色を強める習近平政権の中国に対し、世界の民主主義を推進するアメリカはここに来て大きく舵を切った。今回は、台湾への圧力を強める中国が強引に「3つの列島線」を引いて大国主義を鮮明にする中、日米のそれぞれの対応を考えてみる。(全9話中第2話)
時間:10分13秒
収録日:2022年12月19日
追加日:2023年1月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●台湾関係法を成立させたアメリカの目論み


 これ(前回お話したこと)が最近の情勢ですが、この台湾有事の可能性も含めて、台湾問題をめぐる米中関係は非常に緊迫化してきました。その背景を詳しく説明しておきたいと思います。

 台湾は、日清戦争で清国が日本に割譲したもので、割譲を受けた日本は後藤新平をはじめ、大変有能な人材を送り込んで、台湾の発展のためにインフラを整備し、産業政策を推進してきました。

 太平洋戦争で敗戦した日本は、台湾を手放して中国に返還しました。その後、長い間、台湾が中国の一部であることに世界が疑問を持たなかったのですが、1949年の国共内戦で蒋介石政権が敗れ、中国大陸(の共産党)に追われ台湾に移ってから、それ以降、中国の版図に北京と台北という、それぞれの正統性を主張する2つの政権が樹立されることになりました。つまり、並立したわけです。

 北京政府は、台湾は大陸中国の一部だから、中国は台湾を含めて一つしかない。「一つの中国」という考えです。ところが、蒋介石が率いる台湾の中華民国政府は、光復運動を唱えました。光が復活するということです。それは何かというと、国民党軍が北京に再び攻め上がって中国を統一することです。これも「一つの中国」です。そのように矛盾したことをお互い言っています。

 そして、1972年の2月に、ニクソン大統領が訪中して国交樹立の交渉をしました。中国共産党の毛沢東指導部は、「一つの中国」の大原則の承認を国交樹立の前提条件としたので、アメリカはこれを了承したのです。

 それから数年遅れて、1979年1月1日、カーター大統領が中国と正式に国交を樹立しました。その結果、アメリカは台湾と国交を断絶せざるを得なかったのです。中華民国はそれまでの国連の安全保障常任理事国だったのですが、その資格を剥奪されて中華人民共和国、つまり今の中国でPRC(People's Republic of China)が常任理事国になったわけです。

 アメリカの台湾防衛司令部と米軍が台湾から撤退すると、東アジアの軍事バランスが激変する恐れがあるので、台湾を防衛するための軍事行動の選択肢として、1979年、アメリカは国内法ですが、台湾関係法を制定したのです。台湾関係法による台湾防衛は、台湾の平和を担保するためにさまざまな支援や軍事援助をすることを想定していますが、軍事介入は確約していません。これは「戦略的...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾