台湾有事を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
サイバー攻撃、陽動作戦…中国の軍事侵攻シミュレーション
台湾有事を考える(6)中国による武力侵攻シナリオ〈前編〉
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
習近平独裁政権による台湾有事の可能性を考えるうえで押さえておきたいのは、実際に中国が軍事侵攻を起こす場合、どのような形で展開されるのかということだ。今回は考えられる侵攻シミュレーションを詳しく解説していきたい。あくまでも予想のシナリオにすぎないが、いざというときのために日本はどのように対応すべきか、抱える問題点は何かなど、今から考えておくべきである。(全9話中第6話)
時間:14分38秒
収録日:2022年12月19日
追加日:2023年2月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●通信環境の異変とサイバー攻撃の可能性


 (今回は中国による)武力侵攻のシナリオを考えたいと思います。シミュレーションです。まず、何が起こるでしょうか。私は、武力侵攻が行われるのは2023年の10月ごろと、一応想定しておきます。この頃の日本は、新しい安全保障戦略で予定してあることは何一つできていないですが、それが習近平氏にとってはいいことです。何一つできていないということが一番勝ち目がありますから、おそらくそうなると思います。

 そのような状況を想定していますが、するとどのようなことが起こるでしょうか。おそらく2023年の夏ごろから原因不明の異常現象があちこちで起こるでしょう。1つは通信環境に異変が起こる。ネット通信に障害が起こり、インターネット通信が頻繁に不通になる。企業、官庁、社会のインフラ機能が低下する。個人にも不便なことが起こって不安が高まる。さらに金融機関に故障が出てくる。

 銀行や金融機関の取引や業務の不全が起こる。(いわゆる)システム機能障害ですが、原因は不明で、復旧には時間がかかる。また、データセンターが機能不全になる。データセンターは多くの企業で利用しており、その機関も利用しているので、それらが業務停止となり、その原因が分からないので復旧に時間がかかる。

 さらに、電力が供給機能不全となり、発電所や変電所の機能障害が起こる。つまり、停電、電圧低下、企業活動、病院、家庭生活に障害が生まれる。それから鉄道のダイヤが混乱する。鉄道の運行における同時多発機能障害、例えば運行システム障害、ダイヤの混乱で事故のリスクが高まる。などの社会不安が大きくなるのです。

 これは一体何か。おそらくどこか不明なところからサイバー攻撃を受けているのではないかと、誰でも考えられることです。日本はサイバー防御態勢がものすごく弱い。むしろ欠落しているといってもいいでしょう。

 多くの国々はサイバー防御態勢を整備、強化(イスラエルなどは典型)していますが、そういう国々では、「Active Cyber Defense(アクティブ・サイバー・ディフェンス)」というものを行っています。つまり、サイバー攻撃の足元を突き止める技術を確立しています。日本はまだ研究段階で、自衛隊の専門部隊はそれなりの訓練をしていますが、政府には政府全体を防護・管轄する仕組みがないのです。民間企業のほとんどは無防備の状態...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
徳と仏教の人生論(3)無分別知と全人格的思惟
般若とは何か――秋月龍珉からの命題を探求し到達した境地
田口佳史