司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『街道をゆく』で旅を続ける司馬遼太郎の夢
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(6)ウラル・アルタイ語族と司馬史観
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
司馬遼太郎の大陸ロマンには「ウラル・アルタイ語族」という当時の学説があった。東欧や北欧にまで点在する「自由民的な精神の同胞」を信じ、中国的な定住志向に安住しがちな日本人に、「自由な飛躍」こそ日本の真の姿という夢を与えたのである。それこそが「司馬史観」で、日本人像の「夢」を蒔いた司馬遼太郎が行き着いたのが、『街道をゆく』で旅を続けることだった。(2023年3月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「いまこそ読まれるべき司馬遼太郎~その過去、現在、未来」より、全6話中第6話)
時間:11分32秒
収録日:2023年3月16日
追加日:2023年6月25日
≪全文≫

●言語学への興味~「日本語はウラル・アルタイ語族に属する言語だ」


 このモンゴルへの憧れというのは、司馬遼太郎さんがモンゴル語を専攻した戦争中の語学教育に決定的に影響を受けていました。「日本語はウラル・アルタイ語族に属する言語だ」というもので、朝鮮語、満州語、モンゴル語、シベリアの諸言語、さらに飛び越えてハンガリー語やフィンランドのフィン語などがウラル・アルタイ語族です。

 これらには文法的な共通点、音に関する法則の共通点があって、もとをたどれば同じ言葉をしゃべっていた民族が、フィンランドから日本まで分かれて住んでいるということです。これは、西洋で育った近代言語学における世界の言語の分類によるもので、日本語もフィンランドのフィン語も全て兄弟言語であるという説でした。

 今日では、この説が正しいという説得力は乏しくなっています。そこまではっきり同じ言葉をしゃべっていたものが分かれて、こうなったのかどうか。世の中の見方、言語学の見方は変わってきていると思います。しかし、司馬遼太郎さんの時代においては、ウラル・アルタイ語族は、ウラル語族とアルタイ語族に分かれていたようだということはあるものの、共通のものをずっと話していたといわれていました。

 このシリーズで土佐弁へのこだわりについても話したように、司馬遼太郎さんには言語学への興味が非常に強くありました。そのため、言葉で全部説明しようとするところもありますが、司馬遼太郎さんの場合、「ウラル・アルタイ語族は同じ仲間だ」、だから「モンゴル人と日本人、また朝鮮人も、同じ仲間であり、もとをたどれば遊牧(騎馬)民族として、自由民としての精神を持っている」と。つまり、日本人の根源にはそういう人たちがいるから、農民的な日本人像は本当の日本の姿ではなく、自由人的な姿が日本のスタンダードになり得る。司馬遼太郎さんはそういう信念を持って、そこから世界を説明しようとする。だから、司馬遼太郎さんはすぐにフィンランドやハンガリーについても言及していました。


●文明圏の中で捉える「大きな日本」


 だから、日本人は朝鮮語を勉強しなくてはいけないと。『日本の朝鮮文化』という座談会の中で、司馬遼太郎さんがしゃべっているところを引用してみました。

 〈昔からぼくは、日朝同祖説を何となく確...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一
「万葉集」の聖徳太子――語りかける人(1)日本人の憧れ
聖徳太子と日本人…「実在しなかった」説の真相とは?
上野誠
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
優れた経営者の条件(2)グローバル化と英語の壁
グローバル化の壁である英語は通じさえすればいい
楠木建
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治