台湾と中国の情勢次第では、日本にも軍事的な動員が求められるのか。台中の危機的状況が予測される中、その「有事」を起こさないために、日本がこれから実行していくべき外交とはどのようなものか。また、国民一人ひとりにできることは何か。ウェビナー参加者からの質疑応答編第1弾。(全5話中第3話:2022年9月6日開催ウェビナー〈2024年危機…米中関係の行方〉より)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
≪全文≫
●日本は台湾の平和的統一を果たしたい中国との対話を絶やしてはならない
―― 質問が皆さんから来ておりますので、これからそちらを読み上げさせていただきたいと思います。
まず第1問目でございます。「台湾と中国が戦争になれば、当然アメリカも黙っておらず、まずは経済制裁ということから始まると思うのですが、悪い方向に行けば日本はアメリカに追随して、徴兵制などになって戦争に巻き込まれてゆくのでしょうか」と。
これは今日の話でいうと、それこそ日本の米軍基地が攻撃されるなどということになると、必然的に巻き込まれるということになるわけですね。
小原 はい。ですので、絶対そうなってはいけないわけです。そうなったらどうしようということももちろん考えないといけないとは思いますが、まずはそうならないようにしないといけません。そのために何ができるかということで、先ほども言いましたけど、とにかく対話を絶やしては絶対いけないということです。
僕が見るところでは、少なくとも中国も武力統一はしたくありません。なんとか平和的にやりたいのです。香港であれだけうまくいっていなくて、事実上形骸化しているにもかかわらず、「一国二制度」という看板を掲げています。やはり平和統一の裏側には「一国二制度」しかないわけです。なので、これを掲げることによって中国としても正義というものを世界に見せているわけです。
つまりアメリカと一緒になって、中国に対して圧力をかけてきているという認識ではありません。ひょっとしたら中国側に取り込まれるかもしれないという国に対して、やはりそれなりの自分たちの正統性を見せていく。武力でもって相手をたたいて自分の目的を達するということではなく、中国はとにかく話し合いで、平和的にやっているのだということを見せてきているのです。同時に軍事的な威嚇、威圧を強めながらも、その点をきちっと残しているという部分に対しては、われわれとしてはむしろ外交においてしっかり焦点を当てて、アメリカと一緒になって中国と話をしていかないといけません。まずそこが最大のポイントです。
同時に、抑止力と先ほどから言っていますが、戦争にしないための抑止力は必要で、武力でもって何か目的を達しようとしてもそれは達せられないのだ、という意味での抑止力というものを日本が持っていくことは大事です。まさに日米同盟...