2024年危機~米中関係の行方
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中国の「民主」とは何か?民主主義の後退に絡む厄介な問題
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どうなる台湾危機…中台の政治的節目と米中の軍事的緊張
2024年危機~米中関係の行方(1)台湾統一をめぐる米中の攻防
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
緊張が続く米中関係は、今後どのように展開していくのだろうか。中国と台湾の政治的な節目を照らし合わせると、台湾危機も2024年以降に重大な局面が訪れる可能性が指摘されている。その局面に備え日本が取るべき対応も含め解説する。(全5話中第1話:2022年9月6日開催ウェビナー〈2024年危機…米中関係の行方〉より)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分16秒
収録日:2022年9月6日
追加日:2022年12月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●中台の政治的節目が重なる2024年~27年が危険な時期


―― 本日は小原雅博先生をお招きいたしまして、「2024年危機~米中関係の行方」というテーマで先生のお話をいただきたいと思っております。小原先生、どうぞよろしくお願いいたします。

小原 よろしくお願いします。

―― 今後、特に中長期的に見た場合に、どのような危機が起きてきて、どのような課題があるのかを見てまいりたいと思います。

 まずは台湾危機、台湾統一問題についてです。

小原 これがなぜ2024年と関係するかというところを、まずご説明する必要があるかと思います。スライドの下のところを見ていただきたいのですけれども、アメリカの軍の高官などがこれまでも議会の公聴会などで表明してきたことです。中国の学者も口にしています。

 まず1つ、大きな節目として、2049年の建国100年があるわけです。このときに、まさに習近平国家主席のスローガンである「中華民族の偉大な復興」を実現しないといけません。そのためには、やはり台湾の統一は欠かせないわけです。彼らからすれば台湾の人たちも中華民族ですから、台湾が統一されない限りは「中華民族の偉大な復興」はないと。要するに中国共産党からすれば、そうした中華民族の偉大な復興を成し遂げるためには、台湾の統一は欠かせないピースなわけです。

 これを実現することを見据え、かなり先ですが、2049年というお尻が切られているわけです。

 さらに習近平氏が異例の3期目に進み出したということは、やはりそこで正統性が問われるわけです。それをどこまで口に出すかは別にして、「何で3期目もするの?」という疑問は中国国内にもたくさんあると思うのです。そうすると、習近平氏自身もそこできちっとしたそれなりの成果はあげないといけません。それは何かといえば、やはり1つは台湾統一に向けて、それなりの実績づくりをしていくということでなければいけないと思うのです。

 その意味で、第3期の2022年から2027年は非常に大事な期間になってくるわけです。これが、いろいろな方が2027年を重要だと言及する理由の1つです。

 もっと見ていくと、実は2027年は、人民解放軍建軍の100周年という大事な節目なのです。「武力統一」は人民解放軍なしにはできないわけです。人民解放軍は、最終的に全て、つまり香港を統一、返還...

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