ウィズ・コロナ時代の医学展望
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ブレイクスルー感染にコロナワクチンの効果はどれくらい?
ウィズ・コロナ時代の医学展望(3)新型コロナ医療の最前線
堀江重郎(順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授)
流行から1年以上がたち、新型コロナウイルス感染症について、さまざまなことが分かってきた。重症化のメカニズムと、それを防ぐ治療薬の効果とその問題点、感染のリスク因子、さらに、ワクチン接種が進む中での、ワクチンの予防効果など、これまでの分析で分かってきた新型コロナウイルスの最新情報について解説する。(全4話中第3話)
時間:10分09秒
収録日:2021年9月1日
追加日:2021年10月14日
≪全文≫

●重症化するメカニズムと、それを防ぐ治療薬の効果と問題点


 そうは言いながら、新型コロナウイルス感染症は、やはり2020年の3月、4月に比べると、治療に関して格段に良くなっています。これは少し細かい資料ですが、感染当初と、少したってからを比べると、死亡率が非常に減ってきていることが分かります。

 コロナウイルスの大きな問題点は、免疫応答による過剰な炎症が起こる場合に、致死的となることがいわれています。

 ウイルスが侵入すると、われわれの免疫細胞が活性化します。通常はそこから治癒、あるいはウイルスの除去に進んでいきますが、何らかの原因で過剰な免疫応答が起こることによって、この免疫細胞が出すサイトカインという物質が逆にわれわれの身体を傷つけます。傷つけるというのは、基本的には血管の中で血液が固まりやすくなったり、急激に炎症が進むことによって、肺の中で酸素交換ができなくなってくることです。あるいは、出血しやすくなるといった過激な状態が起きてきます。

 こういった中で現在いろいろな治療ができています。現状最も効果があって、重症化を防ぐ、あるいは重症者に対する治療として、ステロイドであるデキサメタゾンが有効な薬剤として推奨されています。

 これは特に人工呼吸を装着するような方に大変効果があることが分かっています。特に今入院できない方の中には、パルスオキシメーターというご自身の血液中の酸素を計る器具を自治体から貸与されて計っている方がいるかもしれません。酸素投与が必要な段階は、私はほとんどの場合にはデキサメタゾン投与が必要なのではないかと思います。これは行われることがなかなか難しいかもしれませんが、多くの医療人はアグリーするのではないかと思います。

 しかし問題点として、ステロイドは重症化である過激な炎症を防ぐものですが、ウイルスが増殖している段階でステロイドを投与すると、逆にウイルスが増えることを助長します。そのため、感染初期にステロイドを投与してしまうと、逆にウイルスがどんどん増えていって、肺炎が悪くなることもあり得ます。酸素濃度が低下した人の100パーセントにデキサメタゾンが適切かは難しいのですが、多くの方は本来、ステロイドであるこのデキサメタゾンが必...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
「男性更年期」とは何か
うつやほてり…男性ホルモン・テストステロン減少のせい?
堀江重郎
最新の腰痛医療(1)導入された二つの医療と慢性腰痛
高齢者だけじゃない! 若年層にも腰痛が増えている
菊地臣一
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓