テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
テンミニッツTVは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
このエントリーをはてなブックマークに追加

ブレイクスルー感染にコロナワクチンの効果はどれくらい?

ウィズ・コロナ時代の医学展望(3)新型コロナ医療の最前線

堀江重郎
順天堂大学医学部大学院医学研究科 教授
情報・テキスト
流行から1年以上がたち、新型コロナウイルス感染症について、さまざまなことが分かってきた。重症化のメカニズムと、それを防ぐ治療薬の効果とその問題点、感染のリスク因子、さらに、ワクチン接種が進む中での、ワクチンの予防効果など、これまでの分析で分かってきた新型コロナウイルスの最新情報について解説する。(全4話中第3話)
時間:10:09
収録日:2021/09/01
追加日:2021/10/14
≪全文≫

●重症化するメカニズムと、それを防ぐ治療薬の効果と問題点


 そうは言いながら、新型コロナウイルス感染症は、やはり2020年の3月、4月に比べると、治療に関して格段に良くなっています。これは少し細かい資料ですが、感染当初と、少したってからを比べると、死亡率が非常に減ってきていることが分かります。

 コロナウイルスの大きな問題点は、免疫応答による過剰な炎症が起こる場合に、致死的となることがいわれています。

 ウイルスが侵入すると、われわれの免疫細胞が活性化します。通常はそこから治癒、あるいはウイルスの除去に進んでいきますが、何らかの原因で過剰な免疫応答が起こることによって、この免疫細胞が出すサイトカインという物質が逆にわれわれの身体を傷つけます。傷つけるというのは、基本的には血管の中で血液が固まりやすくなったり、急激に炎症が進むことによって、肺の中で酸素交換ができなくなってくることです。あるいは、出血しやすくなるといった過激な状態が起きてきます。

 こういった中で現在いろいろな治療ができています。現状最も効果があって、重症化を防ぐ、あるいは重症者に対する治療として、ステロイドであるデキサメタゾンが有効な薬剤として推奨されています。

 これは特に人工呼吸を装着するような方に大変効果があることが分かっています。特に今入院できない方の中には、パルスオキシメーターというご自身の血液中の酸素を計る器具を自治体から貸与されて計っている方がいるかもしれません。酸素投与が必要な段階は、私はほとんどの場合にはデキサメタゾン投与が必要なのではないかと思います。これは行われることがなかなか難しいかもしれませんが、多くの医療人はアグリーするのではないかと思います。

 しかし問題点として、ステロイドは重症化である過激な炎症を防ぐものですが、ウイルスが増殖している段階でステロイドを投与すると、逆にウイルスが増えることを助長します。そのため、感染初期にステロイドを投与してしまうと、逆にウイルスがどんどん増えていって、肺炎が悪くなることもあり得ます。酸素濃度が低下した人の100パーセントにデキサメタゾンが適切かは難しいのですが、多くの方は本来、ステロイドであるこのデキサメタゾンが必要です。その判断のために、自宅療養の方でもCTスキャンが撮れる方はある段階で撮ってほしいのです。野戦病院について多くの医師が話しているのは、検査システムが必要だからです。このCTのスキャンを見て、デキサメタゾンの投与を開始したいということがあると思います。

 もう一つは、やはり昨今承認されてニュースにもなっている、中和抗体カクテルです。これは酸素投与を必要としない軽症から中等症の感染者が対象です。重症化をしやすい、いわゆる基礎疾患のある方の場合に特に有益で、極めて高額な医療です。1回の費用がおそらく数十万円かかると思います。

 しかし、問題なのは発症後、投与できる期間がかなり制限されているということです。そういった中で基礎疾患のある方にどうやって投与するかですが、サンプリングのような形で投与することはもちろん可能だと思います。しかし、重症化をきたし得るような人全てにこの治療ができるかというと、これはその地域における医療あるいは保健所の力、そして患者さんご自身のリテラシー等、非常にいろいろな大きな要素があるのではないかと考えています。


●新型コロナウイルス感染におけるさまざまなリスク要因


 何しろコロナは無症状患者が多いことが今では常識となってきました。特に今問題になっているのはお子さんです。なかなかワクチン接種ができないお子さんに感染して、ほとんど多くの方が無症状感染であることから、また感染が広まる可能性があります。これはワクチン接種が成人にはかなり進んだとしても、絶えず起きてくる状況にあるのではないかと思います。

 新型コロナ感染のリスクで分かっているものをまとめてみました。男性の方が女性より感染しやすい、18歳未満に比べれば40歳以上の方が感染しやすい、白人と黒人では、黒人のほうが感染しやすいことが分かっています。これには生物学的な問題以外にも、経済的な問題や居住の空間の問題等いろいろな問題があると思います。

 そして、田舎よりも都市部のほうが感染をしやすく、経済的な問題として、貧困層のほうが感染しやすいということです。さらに、肥満者のほうが感染をしやすく、腎臓が悪い人も感染しやすいことが分かっています。

 その中...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。