対コロナ、危機の意思決定を考える
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日本が危機に対して作っているのはシナリオではなくマニュアル
対コロナ、危機の意思決定を考える(2)シナリオ作りと制度設計
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
未知の問題に対処するためには、誰がどのように動くかなど事前にシナリオを作っておく必要がある。今回の新型コロナウイルスでは、日本の場合、そこが不足していた。ではどうすればいいか。海外の事例を参照しながら、日本のシナリオ作りについて考えていく、本講義後の質疑応答編第1弾。(全5話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分27秒
収録日:2020年4月28日
追加日:2020年5月13日
≪全文≫

●日本が作っているのはシナリオではなくマニュアルである


―― 先生、ご講義ありがとうございました。今お話し頂いた中で重要なのは、シナリオをどのように作るのかということだと思います。その点でいえば、日本はこれまでうまくできていなかったということでしょうか。

曽根 はい。日本はシナリオではなくマニュアルを作ってしまっています。つまり、地震が起きたら誰がどこに電話するか、というようなマニュアルは存在します。しかし、地震や今回の新型コロナウイルスのような感染症が爆発的に広まった際に、誰が司令官になり、どのような情勢分析を行い、どの組織をどう動かすか、またそれには時間がどれくらいかかるのかということに関して、作戦のシナリオを作らなければなりません。

 日本の場合、おそらくこれ(作戦計画)を作っているのは自衛隊で、それ以外はほとんど作っていないのではないでしょうか。「官邸一極集中」といわれていますが、このようなシナリオが官邸にあるとは聞いたことがありません。唯一あるのは、マスコミ対応へのマニュアルでしょう。かつて細川護煕政権ができた時に、それがあったと聞いたことがあります。あるいは各省庁からの秘書官などが自分の過去の経験を頭に入れて、対応してきたのでしょう。そうした意味では、新型コロナ問題における対応のシナリオはなかったように思います。


●日本の「危機のシナリオ」作りのため参照すべき海外の事例


―― ヨーロッパ、アメリカ、中国のような他の諸外国は、こうしたシナリオをどのようなレベルで作っているのでしょうか。また、それらと比較して、日本がシナリオを作っていくとすると、どこで誰が作るべきでしょうか。

曽根 アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学で作られたレポートは、実際に実行されたわけではなく、具体的なオペレーションはCDC(Centers for Disease Control and Prevention、アメリカ疾病予防管理センター)が担っています。CDCは頭脳としては機能するのですが、橋本英樹先生(東京大学大学院医学系研究科教授)がおっしゃっていた通り、手足の部分(つまり実行部隊)が弱いのです。日本の保健所に相当するようなものがありません。

 皮肉なことに、日本の保健所は戦後GHQが指導して作られたものです。今の日本も保健所が疲弊し、パンク寸前なのですが、なんとか機能しています。アメリカは、CDCという頭脳は...

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