対コロナ、危機の意思決定を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「寄り添う」ことができない世界で政治家がいかに発信するか
対コロナ、危機の意思決定を考える(3)危機のコミュニケーション
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
新型コロナ問題のような危機の局面において、日本が構築するべきシステムとはどのようなものなのか。重要なのは、意思決定者と分析者が的確に情報を共有するとともに、中央政府と地方自治体の認識が一致することである。これにより、国民と適切なコミュニケーションを取ることができる。(全5話中第3話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分41秒
収録日:2020年4月28日
追加日:2020年5月13日
≪全文≫

●意思決定機関と分析機関の情報共有を


―― 先生がご指摘されたように、危機の局面にはどのようなものがあるかといえば、非常に多様です。自然災害でも台風や地震があります。今回の場合は感染症です。場合によっては、対外的な武力行使を伴う何かが起きるかもしれないというときの危機管理もあります。武力行使の場合は自衛隊が対応体制を取っていると思いますが、こうした多様なパターンについてシナリオを考えられるだけに、これらをどのような形で集約し、政府に集めておくかが重要になるかと思います。あるいは専門家のネットワークも、政府周辺に構築しておく必要があるでしょう。日本がこれから、危機対応の仕組みを新しく整えていくとすれば、どのような構築方法がより良いとお考えでしょうか。

曽根 ベースとなるのは、NSC(国家安全保障委員会)でしょう。ただし、これは安全保障問題に特化しており、諜報機関ではありません。情報を自ら取ってくるわけではなく、上がってきた情報を集約するというところです。アメリカ型のように、諜報機関であるCIAを傘下におくNSCもありますが、イギリス型のJIC(Joint Intelligence Committee)ようにスコットランドヤードと軍、外務省が情報を共有し、分析・意思決定機関を構成している場合もあります。

 それに対して、日本では2020年前後から、NSCが経済危機に対応できるように改変されつつあります。しかし、経済危機だけではなく、今回のような感染症やテロの問題について対応できるようにしていく必要があるでしょう。今回の感染症は、ある意味でテロのように、誰が犯人か分からず、一般の人に紛れていますので、全部止めてしまうということになるのです。実はテロは警察で扱うのですが、大きな規模のテロの場合、アメリカなどは軍を動員します。そうした意味でいうと、意思決定機関と分析機関が情報をどこまで共有できるかということが重要です。


●中央と地方の関係を整理しておく必要がある


曽根 これはエビデンスベースが重要だといわれますが、リアルタイムで意思決定していかなければなりません。現に情報は毎日上がってくるとは思いますが、今回反省すべきは、加藤勝信厚生労働省大臣や西村康稔経済再生大臣、内閣府、各都道府県の相互関係がうまくいかなかったことです。特に西村大臣と各都道府県の関係が若干ギクシャクしました。法律上の問題もありますが、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規