対コロナ、危機の意思決定を考える
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日本が危機に対して作っているのはシナリオではなくマニュアル
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新型コロナ問題を考える上で重要な「危機のシナリオ」
対コロナ、危機の意思決定を考える(1)シナリオの必要性
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
新型コロナウイルス問題に対して、安倍政権は批判にさらされている。「安倍一強」といわれ、官邸に意思決定が集中しているはずなのに、支障が生じているのはなぜなのか。そこで今回考えたいのは、未知の問題における危機管理についてである。特に重要なのは、平時においていかに「危機のシナリオ」を準備し、作成しておくかということだ。(全5話中第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分55秒
収録日:2020年4月28日
追加日:2020年5月13日
≪全文≫

●未知の問題が多すぎる新型コロナウイルス


―― 皆さま、こんにちは。本日は曽根泰教先生に、「危機の意思決定」というテーマでお話を伺いたいと思います。本日も曽根先生には、リモート講義によってお話を頂きたいと思います。先生、どうぞよろしくお願い致します。

 まず先生からご講義を頂き、その後(第2話から)質疑応答に入りたいと思います。先生、お願い致します。

曽根 「危機の意思決定」というテーマでお話しします。通常の危機管理や意思決定論に加えて重要なのは、シナリオや作戦計画が必要だということです。今回は、この点を強調するつもりです。

 われわれは通常、未知の問題について、未知ではあるけれどもそれに対処するため、事前準備をしておくことがあります。特に日本の場合には、地震のような自然災害を危機管理の典型例として考えることが基本でした。中央政府も地方自治体も、それを前提に危機管理を組み立ててきたのです。

 ところが、今回の新型コロナウイルスについては、エビデンスを条件に政策決定をすることが求められているものの、未知の事柄がいろいろと多すぎる状況です。こうした状況は以前にもありました。例えば東日本大震災の時、福島第一原発が水素爆発した際、原子炉の中がどうなっていたのかについては誰も分からず、今でも全て分かっているわけではありません。新型コロナウイルスも同様に、その実体はなかなか分からないのです。さらに、公衆衛生政策という面でも、国によって効果が上がったところとそうではないところがあるため、分かりにくい状況です。また、ワクチンや治療薬も「これだ」という確実なものはまだなく、試作品の段階にとどまっています。


●安倍政権への疑念~官邸機能のどこに問題があるのか~


曽根 こうした事情から、安倍政権は批判にさらされています。一律給付はこれで良いのか、マスク2枚の配布は政策として妥当なのか、緊急事態宣言は遅かったのではないか、減収世帯に30万円を支給すると言っておきながら10万円に変わったのはなぜか、などです。さらに、こうした政策が、習近平国家主席の来日や東京オリンピック・パラリンピックの開催延期に絡んでいたのではないかという疑念もあります。

 それでは、「安倍一強」といわ...

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