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再感染を防ぐために世界で進められている3つの対策

コロナパンデミックと闘う世界と今後の課題(4)再感染防止への各種対策

島田晴雄
東京都公立大学法人理事長/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
再感染の拡大を防ぐために、さまざまな対策が各国で取られている。検査体制の拡充や、接触を記録するアプリの開発、新たな治療薬の開発など、さまざまな分野で急ピッチの開発が進められている。とりわけワクチンの開発は非常に重要だが、高い技術力と巨大な資本を持つ先進国の企業しか開発に取り組むことはできない。仮に完成したとしても、本当に必要としている人に行き渡らせる体制を整備することが必要である。(全12話中第4話)
時間:09:40
収録日:2020/07/16
追加日:2020/08/28
キーワード:
≪全文≫

●各種検査体制を拡充していくことが急務


 このような再感染を防ぐために、大きく分類して3つの対策が取られています。1つは検査体制の整備と拡充です。次に、接触アプリを開発し、広範な利用のために提供することです。最後に、ワクチンとは異なる、治療薬の活用に関しても研究が進んでいます。

 検査体制についてはPCR検査、抗体検査、抗原検査などいくつか種類があります。PCR検査は、体内に新型コロナウイルスの遺伝子が侵入しているかどうかを確認する検査です。世界諸国で実施されています。世界的な傾向としては、国民の全数調査を実施するという方向に向かっているのですが、そうした傾向の中でなぜか日本のPCR検査実施数が極端に少ないという事実が目立ちますよね。

 次に、抗体検査は、かつてこのウイルスに感染したことがあるか調べるものです。ウイルスに感染すると形成される免疫抗体の有無を検査します。アメリカやヨーロッパ、日本など各国で行われています。この検査によって、本当にウイルス感染に対して免疫性があることを証明できるのかという点には疑問が残ります。

 ドイツでは、この抗体を持つ人に、免疫獲得の証明書を発行して、経済活動への参加を許可するという体制を構築する、という議論もあったようです。しかし、WHOは抗体といってもどのウイルスに作用する抗体なのか判然としないのでこの検査にあまり意味はないとして、一貫して利用を控えるように促しています。最近では、新型コロナウイルスに感染した経験があるかを調べられる抗体検査が可能な試薬が開発されたといわれていますが、現段階では不透明です。


●接触アプリの開発と治療薬の開発も今後の感染抑制に有効な対策


 もう一つの対策は接触アプリの開発です。接触アプリは、Bluetoothを用いて近距離で感染者に接触したか分かるようになっています。Bluetoothを用いて接触情報を確認する流れとともに、GPSを用いてスマートフォンの位置情報まで利用するという流れもあるようです。Bluetoothを用いた技術はシンガポールが開発したのですが、日本やオーストラリアもこの方向性で開発を進めています。中国はGPSより高性能な北斗(ベイドウ)という位置測定衛星を宇宙空間で運営しています。中国はアリババやテンセントといった企業がこの技術を用いてアプリを開発しています。インドもその技術を用いているようです。他にも、韓国や台湾、香港、タイなどの国々で用いられています。

 中国はかつて新型コロナウイルスの感染拡大を収束させたという成果に、相当自信を持っています。中国の方法は強い統制を用いています。アリババとテンセントが総力を挙げてアプリを開発しましたが、利用者はこのアプリに身分証明書番号や電話番号、個人情報を全て入力することを求められています。感染を収束させたという中国の経験は、ビッグデータを使って、都市をロックダウンした時のことをいっていますが、この技術に関して6月上旬頃に、ISOに規格取得申請を行っています。ヨーロッパや日本はこれに対して、にAI活用の危険性に関して、6月までに共同声明を出しています。中国の方法は徹底的な監視社会を追求するもので、確かに感染のコントロールにはそれなりに有効かもしれませんが、ヨーロッパで強い反発が起こることは必至です。人権とプライバシーを軽視しているモデルなのです。

 最後に、何千という規模のさまざまな治療の支援薬の開発が進められています。特に国際的に注目されているのは、エボラ出血熱の対処に用いられたレムデシビルという薬です。それから、新型インフルエンザ対策のアビガンという錠剤薬、エイズ対策のカレトラという錠剤薬、オルべスコという吸入薬、そして急性膵炎に用いられるナファモスタットなどの薬も取り上げられています。当たらずとも遠からずというべきか、さまざまな実験でこれらの薬にはある程度効果があると指摘されています。


●各国が総力をあげてワクチン開発に取り組んでいる


 さて、本題はワクチンです。ワクチンの開発の現状としては、今世界で数十種類のワクチン開発が進行中とされています。2020年6月下旬の段階では、アメリカのモデルナが開発に取り組み、スイスのロンザが量産体制に入ろうとしています。

 中国ではカンシノ・バイオロジクスが開発に取り組んでいます。量産に関してはどの企業が対応するか明らかになっていませんが、最近人民解放軍ではないかと報道されています。それから、北京の生物製品研究所がシノファーマという企業と組んでいます。

 イギリスでは、オックスフォード大学が開発に取り組んでいますが、量産を請け負うのはアストラゼネカです。ドイツがビオンテックとファイザーが開発に取り組み、ファイザーが量産も請け負う予定です。アメリカのジョンソンエンドジョンソンも開発と量産...
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