テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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検査の感度よりも頻度によって対処するという方向性の必要性

新型コロナ問題の現在地とこれからの課題(3)無症状感染者と検査の問題

情報・テキスト
これまでに新型コロナウイルスに関する多くの知識が蓄積されてきたが、無症状感染者の拡散能力や、抗体の持続性など、よく分かっていないことも多い。これから何をすれば正しいやり方といえるのか、いまだに分かっていないが、今求められているのは、積極的にワクチンの開発や新たな検査の導入に取り組み、新たな社会システムを構築していくことである。(全5話中第3話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長
時間:10:25
収録日:2020/07/16
追加日:2020/08/08
≪全文≫

●難しいのは無症状感染者と抗体の問題


―― はい、ありがとうございます。次に、医療の観点から現在までに明らかになっていることについてお話を伺おうと思います。曽根先生が、テンミニッツTVにもご出演いただいた、東京大学の橋本英樹先生に最近ちょうどお話をお聞きになったとのことですが、お話は感染に関する問題提起についてということで、どういったお話だったのか、お願いできますでしょうか。

曽根 はい。橋本先生にいくつか質問させていただきました。その中の一つは、無症状あるいは感染に対して無意識の感染者が、ウイルスを拡散するのか、あるいは他人には感染させずに、本人も知らぬ間に完治してしまうという経過をたどり、拡散させることはないのかということです。この点に関するデータの有無を尋ねたところ、現時点ではまだ集まっていないという回答をいただきました。

 今回の新型コロナウイルスの難しさの一つは、無症状感染者の問題です。検査問題とも関係していますが、実は無症状感染者がどのような影響を与えているのか、十分にフォローできていないのです。そのため、高齢者は危険なので表に出ない、接触しないようにするという行動が推奨されるのだと思います。

―― われわれは現在、無症状感染者からも感染するという認識があるのですが、その点に関してまだ何ともいえないということでしょうか。

曽根 このウイルスに感染しても、1日目、2日目という初期段階では、PCR検査してもウイルスが検出されません。ある時点から、ウイルスが急増して検査で陽性反応が出るようになります。この段階でも本人には自覚症状がない場合もあるのですが、その場合に他人に感染させる状態なのかという点は、データが十分蓄積されていません(プリンセス・ダイヤモンド号では起きたことですが)。その点が明らかになると、より安心感のある対応ができると思います。

 またもう一つ、よく分かっていない点は抗体です。大阪大学の宮坂昌之先生が、善玉抗体、悪玉抗体、役無し抗体という抗体の種類があることを指摘していました。重要なのは、抗体の持続性が短いのではないかという疑いと、意外と抗体が形成されていないという点です。武漢で990万人を対象に調査が行われました。ほとんどの人が感染しておらず、無症状で抗体を持っていた人は300人だったそうです。非常に比率が少ないのです。ですので、この抗体についても、今後詳しく調査する必要があります。つまり、そこはやらなければならないことでも、まだよく分かっていないことがあるということです。


●ワクチンと治療薬の開発はどんどんと進め、新しい道を作ることが重要


―― はい。この点に関して、小宮山先生はいかがですか。

小宮山 今、ご指摘いただいたような未知の部分が多く存在することには、もちろん注意しなければなりません。そのような状況の中で、ワクチンを作っても意味がない、薬もどんどん変わっていかなければならないという議論もあります。ですから、今、曽根先生が指摘されたことは、分からないことです。

 しかし私は、分からないことをダメだといわないほうが良いと思います。効果の高いワクチンは開発できるという考えのもと、人類の総力を挙げて、非常に多くの研究所がワクチン開発に取り組んでいるのです。その開発者たちは、先ほど指摘されたような今回のウイルスの特徴も知った上で取り組んでいます。私はそうした(分からないことがあるという)状況でも、誰かが良いワクチンを作るというのが、今までの歴史だったと思います。何か新しいことが起こると、必ずさまざまな方面から非常に多くの批判が投げかけられます。特に私は東京大学の総長を務めていましたので、ここの先生は特にそのような傾向がありました。

 しかし、結局誰かが良いものを作る、あるいは新しい道を作ることで、これまでの人類は前進し続けているのだと思います。今回もおそらくそうでしょう。本庶佑先生(京都大学名誉教授)も、ワクチンに対して懐疑的ですが、私は誰か効果が高いワクチンを作ると思います。さまざまなコロナウイルスの特性をきちんと理解している上で、開発に取り組んでいる方もいます。おそらくそうした人の誰かが開発に成功するのではないかと思います。未来のことなので、はっきりとは分かりません。ただ、曽根先生が今指摘したことを明らかにすることは、もちろんきわめて重要です。

―― そのためにも、検査や研究をどんどんと進めていかなければならないのですね。

曽根 はい。ワクチンと治療薬の開発は、どんどんと進める必要があります。宮坂先生は、そうしたハードルを乗り越えると、ちゃんとしたワクチンが開発されるとご指摘されていたと思います。ということで、本庶先生はかなり否定的な立場を取っていましたが、宮坂先生は乗り越えるべき...
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