新型コロナ問題の現在地とこれからの課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
検査の感度よりも頻度によって対処するという方向性の必要性
新型コロナ問題の現在地とこれからの課題(3)無症状感染者と検査の問題
これまでに新型コロナウイルスに関する多くの知識が蓄積されてきたが、無症状感染者の拡散能力や、抗体の持続性など、よく分かっていないことも多い。これから何をすれば正しいやり方といえるのか、いまだに分かっていないが、今求められているのは、積極的にワクチンの開発や新たな検査の導入に取り組み、新たな社会システムを構築していくことである。(全5話中第3話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長
時間:10分25秒
収録日:2020年7月16日
追加日:2020年8月8日
≪全文≫

●難しいのは無症状感染者と抗体の問題


―― はい、ありがとうございます。次に、医療の観点から現在までに明らかになっていることについてお話を伺おうと思います。曽根先生が、テンミニッツTVにもご出演いただいた、東京大学の橋本英樹先生に最近ちょうどお話をお聞きになったとのことですが、お話は感染に関する問題提起についてということで、どういったお話だったのか、お願いできますでしょうか。

曽根 はい。橋本先生にいくつか質問させていただきました。その中の一つは、無症状あるいは感染に対して無意識の感染者が、ウイルスを拡散するのか、あるいは他人には感染させずに、本人も知らぬ間に完治してしまうという経過をたどり、拡散させることはないのかということです。この点に関するデータの有無を尋ねたところ、現時点ではまだ集まっていないという回答をいただきました。

 今回の新型コロナウイルスの難しさの一つは、無症状感染者の問題です。検査問題とも関係していますが、実は無症状感染者がどのような影響を与えているのか、十分にフォローできていないのです。そのため、高齢者は危険なので表に出ない、接触しないようにするという行動が推奨されるのだと思います。

―― われわれは現在、無症状感染者からも感染するという認識があるのですが、その点に関してまだ何ともいえないということでしょうか。

曽根 このウイルスに感染しても、1日目、2日目という初期段階では、PCR検査してもウイルスが検出されません。ある時点から、ウイルスが急増して検査で陽性反応が出るようになります。この段階でも本人には自覚症状がない場合もあるのですが、その場合に他人に感染させる状態なのかという点は、データが十分蓄積されていません(プリンセス・ダイヤモンド号では起きたことですが)。その点が明らかになると、より安心感のある対応ができると思います。

 またもう一つ、よく分かっていない点は抗体です。大阪大学の宮坂昌之先生が、善玉抗体、悪玉抗体、役無し抗体という抗体の種類があることを指摘していました。重要なのは、抗体の持続性が短いのではないかという疑いと、意外と抗体が形成されていないという点です。武漢で990万人を対象に調査が行われました。ほとんどの人が感染しておらず、無症状で抗体を持っていた人は300人だったそうです。非常に比率が少ないのです。ですので、この抗体...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(4)トランプ大統領VS.中国
トランプ政権は実は与しやすい?…ディールで「時間稼ぎ」
垂秀夫