免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
第2波、第3波が来ても感染拡大を最小限におさえるために
免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える(10)新しい行動様式の受容
これからの感染拡大を防ぐために、社会はどのように対応していけば良いのだろうか。接触制限をすることはもちろん有効だが、今回は8割の接触減でなくても終息へと進めることができた。ワクチンや薬の開発は非常に有効だが、安全性や効果が高いものを実用化するには2年程度、時間がかかる。最も重要なのは、私たち自身が新しい行動様式を受け入れることで、そうすれば第2波、第3波が来ても、感染拡大を最小限におさえることにつながるだろう。(全11話中第10話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分03秒
収録日:2020年6月4日
追加日:2020年7月2日
≪全文≫

●8割の接触減でなくても終息へと進めることができた


―― それでは最後のパートとなりますが、社会の平常化に向けた取り組みに関して、よろしくお願いいたします。

宮坂 これまでの議論をもとに考えると、社会の中で対人距離を取り、基本再生産数を下げるという取り組みが、ウイルスの感染拡大を止めるのに必要だということが分かります。スライドで示しているのは、あるテレビ番組で出ていたデータですが、北海道大学の樋田泰浩先生が作成されたものです。ここではあくまで参考として取り上げますので、これについての検証は行っていません。ただ、非常に興味深い計算だと思って、この機会にご紹介します。

 データは、樋田先生が新型コロナの感染者の今後の推移に関して、簡単な数式を用いて推測したものです。これは、感染に関する簡単な算数なのですが、この新型コロナウイルスの患者1人がいた際に、10日間で平均2.5人に感染を広げると仮定しています。この仮定にも注意する必要があります。というのも、先ほどお話ししたように、感染してから5日間はPCR検査では陽性にならないことが多いのですが、実際にはウイルスに感染しているという状態です。感染5日目からPCR検査で陽性反応が出て、それから1週間程度は陽性反応が出続けます。ですので、平均的なサイクルでは、感染している期間は10日間から2週間となります。その間に先ほどいったように2.5人に感染させた場合の計算結果になります。

 この場合、感染者が100人いたとすると、10日後には感染者数は100×2.5=250人になります。20日後には100×2.5×2.5なので625人となり、30日後にはさらに2.5倍の1562.5人の感染者数となります。つまり何も対策を取らなければ、急激に感染者の数が増加することになるのです。先ほど指摘した集団免疫などの要素を一切無視して簡単に計算すると、このような数値になるかもしれません。

 一方、接触抑制をすると、どの程度1人がうつす感染者の数が減るのでしょうか。例えば、接触を50パーセント減らすと、先ほどの2.5人に0.5を掛けて、1.25人になります。60パーセント減では1人、70パーセント減では0.75人、80パーセント減では0.5人に感染を広げることとなります。つまり、人との接触を60パーセント減らしても、R0は1なので、感染者数は減りません。対して、70パーセント以上...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
「男性更年期」とは何か
うつやほてり…男性ホルモン・テストステロン減少のせい?
堀江重郎
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
“膝の痛みの名医”が語る(1)変形性膝関節症とは
膝の痛み…変形性膝関節症に有効なのは「運動療法」
黒澤尚

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫