免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える
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集団免疫の形成には社会の構成者の6割の感染が必要なのか
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まず「病原体を防ぐからだのメカニズム」を知ることが重要
免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える(1)自然免疫と獲得免疫
健康と医療
新型コロナウイルスは私たちの生活に大きな影響を与えているが、これから社会をどう平常化していけばいいのか、「免疫」という視点から考えるシリーズ講義。まず私たちのからだは、「自然免疫と獲得免疫」という二段構えの免疫機構が備わっていることを押さえておくことが重要だ。この免疫機構の働きを正しく理解することが、ポストコロナの社会を生きていくために重要である。(全11話中第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分40秒
収録日:2020年6月4日
追加日:2020年7月1日
≪全文≫

●私たちの免疫機構は自然免疫と獲得免疫の二段構えになっている


―― 皆さま、こんにちは。本日は、大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授、兼大阪大学名誉教授の宮坂昌之先生、およびテンミニッツTV副座長を務めている慶應義塾大学名誉教授の曽根泰教先生に、「新型コロナウイルスと免疫」というテーマのもと、これから社会をどう平常化していくか、ということに関してお話を伺いたいと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

宮坂 よろしくお願いします。

―― 本日、宮坂先生に資料を準備していただいたので、この資料で説明を加えたのちに、曽根先生と議論を深めていただきます。それでは宮坂先生、どうぞよろしくお願いいたします。

宮坂 それではご説明させていただきます。最初に、ウイルスと免疫に関する基本知識について、お互いの理解を共有することが望ましいと思いますので、その1として個人レベルでの免疫反応からお話しさせていただきます。

 上のスライドにあるように、私たちの免疫機構は二段構えになっています。まず、自然免疫という、お城でいえば城門、城壁のようなものがあります。それから、獲得免疫とは、いわば免疫の本丸、最も大事な部分です。この図の上のほうが体の外、下のほうが体の中と考えてください。スライドにあるように、病原体が体の中に侵入しようとした際の、最初のバリアーは「物理的・化学的バリアー」と呼ばれます。例えば、皮膚や粘膜、そこに存在する殺菌物質などが細菌やウイルスの侵入を防ごうとするのです。

 この層を通り抜けると、次の層には白血球の一種である食細胞がいます。これは、ばい菌やウイルスなどの入ってきた病原体を食べて、多くのものはその細胞の中でつくった殺菌性物質によってそれらを殺してしまうのです。この機構を「自然免疫機構」と呼びます。スライドの右側にあるように非常に反応が速く、数分から時間という単位で働きます。ただし、一度見たものを覚えていないと、これまでいわれていました。これは必ずしも正しくないのですが、教科書にはこのシステムは免疫記憶を持たず、前に見たものを覚えていないと書かれています。この機構の大事な点は、生まれたときから誰でも持っているということです。

 次に、この自然免疫機構をウイルスが通り抜けると、さらにその内側...

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