ウイルスの話~その本質と特性
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大きな被害をもたらす一本鎖RNAのウイルスとは
ウイルスの話~その本質と特性(2)感染メカニズムとDNA・RNA
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
ウイルスにはDNA(二本鎖)を持っているものとRNA(一本鎖)しか持っていないものが存在する。ポイントは変異の速度で、DNAウイルスは頻繁に変異が起こらないため、その間にワクチンを開発することができる。一方、RNAだけしか持っていないウイルスは非常に速く変異する。大きな被害をもたらすのはこのウイルスで、代表的なのは2020年現在流行している新型コロナウイルスや、SARS、エボラウイルスなどだ。(全3話中第2話)
時間:10分47秒
収録日:2020年2月17日
追加日:2020年3月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●ウイルスの吸着と侵入のメカニズム


 「ウイルスは自分で情報を持っているが、複製することができない」といいましたが、それではどのように生物を利用して複製するのでしょうか。

 まず、標的となる細胞に吸着します。前回申し上げたように、細胞の表面にはさまざまな形の突起があります。

 図では粒粒で突起がないように描いてありますが、ウイルスのカプシドやエンベロープにも突起が存在します。そのウイルス自身の突起と合致する細胞の突起に吸着します。

 吸着した後、さまざまな方法で細胞内部に侵入していきます。その後、遺伝情報をさらすために、カプシドやエンベロープを壊し、遺伝情報が宿主の細胞のなかに泳ぎ込んでいきます。これを「脱殻」と呼びます。そのようにして細胞に入り込むと、遺伝情報をもとにカプシドやエンベロープを含む自分自身をつくっている構成要素を、宿主の細胞内構造を利用して生産していきます。タンパク質などを自分に都合の良いように操作してつくらせるのです。そうして部品が形成されると、それを組み合わせてまた遺伝情報の周りをカプシドが囲むというような娘ウイルスをつくり出します。それが貯まってくると、細胞を破って飛び出し、また拡散していきます。これが症状の原因です。つまり、ウイルスに悪さをされた細胞が破られて外に出て行くと、咳などの症状が出るということです。そのなかに、多くの娘ウイルスが含まれているのです。

 ウイルスの吸着や細胞内部に取り込ませるための方法はいろいろあります。そうした方法を研究して、どの部分を攻撃すればその過程を阻止できるのかを調べることで、抗ウイルス薬を開発することができます。ただ繰り返しますが、吸着や侵入の方法はさまざまなので、あるウイルスに効く方法がほかのウイルスにも同様に効くとは限りません。それが、変幻自在なウイルス対策の難しい点です。


●DNAウイルスは頻繁に変異しないのでワクチンを用意できる


 前回DNAとRNAがあると申し上げましたが、DNAとはデオキシリボ核酸の略称で、二重らせん構造です。これはどの生物も持っています。二重らせん構造は、きっちりした形を取って、相手のAGCT配列とブリッジできるように...

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