ウイルスの話~その本質と特性
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
大きな被害をもたらす一本鎖RNAのウイルスとは
ウイルスの話~その本質と特性(2)感染メカニズムとDNA・RNA
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
ウイルスにはDNA(二本鎖)を持っているものとRNA(一本鎖)しか持っていないものが存在する。ポイントは変異の速度で、DNAウイルスは頻繁に変異が起こらないため、その間にワクチンを開発することができる。一方、RNAだけしか持っていないウイルスは非常に速く変異する。大きな被害をもたらすのはこのウイルスで、代表的なのは2020年現在流行している新型コロナウイルスや、SARS、エボラウイルスなどだ。(全3話中第2話)
時間:10分47秒
収録日:2020年2月17日
追加日:2020年3月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●ウイルスの吸着と侵入のメカニズム


 「ウイルスは自分で情報を持っているが、複製することができない」といいましたが、それではどのように生物を利用して複製するのでしょうか。

 まず、標的となる細胞に吸着します。前回申し上げたように、細胞の表面にはさまざまな形の突起があります。

 図では粒粒で突起がないように描いてありますが、ウイルスのカプシドやエンベロープにも突起が存在します。そのウイルス自身の突起と合致する細胞の突起に吸着します。

 吸着した後、さまざまな方法で細胞内部に侵入していきます。その後、遺伝情報をさらすために、カプシドやエンベロープを壊し、遺伝情報が宿主の細胞のなかに泳ぎ込んでいきます。これを「脱殻」と呼びます。そのようにして細胞に入り込むと、遺伝情報をもとにカプシドやエンベロープを含む自分自身をつくっている構成要素を、宿主の細胞内構造を利用して生産していきます。タンパク質などを自分に都合の良いように操作してつくらせるのです。そうして部品が形成されると、それを組み合わせてまた遺伝情報の周りをカプシドが囲むというような娘ウイルスをつくり出します。それが貯まってくると、細胞を破って飛び出し、また拡散していきます。これが症状の原因です。つまり、ウイルスに悪さをされた細胞が破られて外に出て行くと、咳などの症状が出るということです。そのなかに、多くの娘ウイルスが含まれているのです。

 ウイルスの吸着や細胞内部に取り込ませるための方法はいろいろあります。そうした方法を研究して、どの部分を攻撃すればその過程を阻止できるのかを調べることで、抗ウイルス薬を開発することができます。ただ繰り返しますが、吸着や侵入の方法はさまざまなので、あるウイルスに効く方法がほかのウイルスにも同様に効くとは限りません。それが、変幻自在なウイルス対策の難しい点です。


●DNAウイルスは頻繁に変異しないのでワクチンを用意できる


 前回DNAとRNAがあると申し上げましたが、DNAとはデオキシリボ核酸の略称で、二重らせん構造です。これはどの生物も持っています。二重らせん構造は、きっちりした形を取って、相手のAGCT配列とブリッジできるように...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
ナノテクノロジーでがんに挑む(1)「iCONM」がめざす医療
ナノマシンによるがん治療…体内病院というイノベーション
片岡一則
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
新病態フレイルとサルコペニア(1)概念と診断
「フレイル」の意味と「サルコペニア」の診断基準
大内尉義
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠