コロナパンデミックと闘う世界と今後の課題
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世界にダークエイジの到来を阻止するため重要な5つの対策
コロナパンデミックと闘う世界と今後の課題(12)新たな世界構築のために
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
世界は現在ダークエイジに進む流れがある中、これを阻止するため、われわれは何をしていけば良いのか。島田晴雄氏は5つの提案をして、シリーズ講義を締めくくる。その中でも最も重要なのは、医療安全保障の国際協力だという。具体的にどのようなことなのか。他の4つの提案を合わせて確認しておきたい。(全12話中第12話)
時間:13分30秒
収録日:2020年7月16日
追加日:2020年9月5日
≪全文≫

●医療安全保障の国際協力体制を整備することの必要性


 最後に、現在ダークエイジに進む流れがある中で、これを阻止するために、われわれは何をしていけば良いのか考えたいと思います。最後に5つの提案をして、私の講義を完結させたいと思います。

 最も重要なのは、医療安全保障の国際協力です。パンデミックとの戦いは、人類とウィルスの戦争です。これまでの安全保障は、地政学的な国家間の紛争のみを扱ってきました。しかし、現在の戦いは全人類の安全保障です。リーマンショックの際には、バラク・オバマ大統領とイギリスのゴードン・ブラウン首相らの尽力でG20が結成されて、それ以降さまざまな場面でこの国際協力体制が、経済政策の運用のために機能しています。

 ところが、今回の場合は、トランプ政権が最も重要な国際連合の機関である、WHOから脱退するという暴挙に出ています。世界の衛生と医療を守る国際協力が崩壊する危機に直面しているのです。ですので、日本も含めて他の国々が協力して、アメリカの人々も巻き込んで、国際医療安全保障体制を再構築する必要があります。総力を挙げてそのような組織をつくり、世界の衛生と健康増進を図る努力をすべきです。

 今、世界の有力な国々がワクチン開発に取り組んでいますが、それ以外の国々にワクチンが供給される体制をつくらなければ、この感染爆発は繰り返し起こり、世界的な悪影響がもたらされます。アメリカは非常に優れた技術も、人材も、組織も持っています。ですので、何とかしてアメリカを巻き込む必要があります。そして、衛生環境が悪い、医療インフラの整っていない国々を支援しなければなりません。

 私はその中で日本が貢献できる余地は非常に大きいと思っています。その理由は、日本はコロナ対策のほとんどは自粛などの自主努力ですが、(現時点で)被害は最小レベルです。衛生環境は世界でおそらく最も優れているのではないかと思います。感染予防の知恵も、医療の技術もあり、貢献できると思います。しかも、日本はアメリカの軍事同盟国です。ですので、その立場を利用して、アメリカとの協力関係の改善に向けて、努力する余地はあります。さらに、アフリカやインド、ブラジル、東南アジアへの支援に関して果たすべき役割は非常に大きいのです。

 例えば、インドと日本の相互補完関係は顕著です。インドには非常に優秀なIT人材、素晴らし...

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