独裁の世界史~未来への提言編
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当たり前だと思っていた自由が脅かされるとき…法律と自粛
独裁の世界史~未来への提言編(8)「自由」と法のルール
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
日本をはじめ多くの先進民主主義国では、もはや自由は「当たり前」のものと思われるまでになった。しかし今、「自由」が大いに脅かされる時代になりつつある。私たちは基本的に自分の意志で自由に行動できるが、コロナ禍のような非常事態・緊急事態のときには、ある程度自分の自由を犠牲にしなければいけない。こうした自由が効かない状況で、日本では「自粛」という手段が用いられたが、欧米では法による「禁止」という方法が取られた。この違いをどう考えればいいのか。(全10話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分57秒
収録日:2020年8月7日
追加日:2020年12月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●自由をそれぞれがどう考えるか…考えるべき「ルール」の成り立ち


―― これらは、講義の前半に出てきた「自由」が関わってくる問題だと思います。今の日本人からすると、自由というのは非常に当たり前のもの、いってみれば天与のもので、誰しもが持っていて享受できるという前提に立っています。だから、それが守られるには守られる前提があるのだということが分からない、と。

本村 そうです。今回のコロナ禍で分からなくなっていることの一つがそれです。バンジャマン・コンスタン(フランス自由主義の思想家)の『近代人の自由と古代人の自由』という書籍において、古代人の自由は「自分の上に主人がいない」、つまり奴隷ではないという意味で基本的に自分の意志で行動できるが、公事になると必ずしもそうではない。そういうことの決定においては、それなりの見識を持った人の意見にみんなが従うということでした。

 分かりやすくいうと、みんなが自分のやりたいことをやればいいというのが今までのわれわれの考え方であったけれども、このコロナの時代になっていろいろな面で自粛要請や規制が出てきているわけです。非常事態・緊急事態のときには、互いにコンセンサスを取り、公事の前ではある程度自分の自由を犠牲にしなければいけないということです。

 近代以降、代議制を取るようになり、面倒臭いようなことは全て政治家に任せ、個人的な自由を享受すればいいと考えてきたわれわれは今、特に戦後日本において初めてというほどその自由が脅かされている。そのことに戸惑っているというのが現状ではないかと思います。

―― 自粛というのは文字通り、自分で粛然とせよという意味です。日本の場合、法律上で強権的に止める手立てはないのが現状なので、どちらかというと「自粛」頼みでやっていますし、今の段階では皆さんも、ある程度それを受け入れて自粛モードになっています。

 そこに本来、自由をそれぞれがどう考えるかという問題があるということを意識しておかないと、「自粛警察」と言われるように、互いが監視し合うような姿になりかねません。自粛と自由というのは非常に難しい問題ですね。

本村 そうですね。典型的にはフランスなどがそうでした。フランス革命の経験では、最初のうち相当ひどい経験もしましたが、フランス革命からもう200数十年たっています。その中で、フランスは法律によって物...

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