独裁の世界史~未来への提言編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ローマの元老院も派閥政治だった?官邸主導の是非を問う
独裁の世界史~未来への提言編(9)ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの問題
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
古代ローマやヴェネツィアでは独裁に対抗するための制度設計が進められた。一方、平成の政治改革は政治主導で、官邸機能の強化により派閥が解消された。それはゲゼルシャフトに対するゲマインシャフトの消滅を意味するのだろうか。コロナ禍で急激に進行する「アトム化」は、次世代をどう変えるのだろう。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分53秒
収録日:2020年8月7日
追加日:2020年12月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●派閥政治がなくなり、議論をしっかりとする場がなくなった


―― 今回は少し話を変えますが、『独裁の世界史』シリーズで非常に印象深かったのが、まさにローマとヴェネツィアだと思っていました。独裁にならないよう、非常にうまい制度設計をしていった歴史があったからです。それは当然、長い歴史の間でいろいろ変遷はしていくわけですけれど、二つの事例において共通のベースだったそのことが大きく働いた点が、とても印象深かったですね。

 かたや日本の場合、平成に入ってからの政治改革ではどちらかというと政治主導のようなことが掲げられました。例えば官邸機能を強化するとか、ちょっと権力を強めていくとか。見方によると、今まで分立していた権力のどこかを強化するというイメージの強い改革を、もしかすると安易にといいますか、あまり深く考えることもなく進めてしまったのではないかということです。

 その結果から生じた混乱が今の姿になったとすると、ローマやヴェネツィアとはやや様相が違い、逆のベクトルが働いたような感じもします。ローマ、ヴェネツィアと平成以降の日本を比べたときに、何か印象に残るところはございますか。

本村 私自身は現代の政治について、専門に研究をやっているわけではないのですが、御厨貴先生と一緒に対談本(『日本の崩壊』祥伝社新書)を出した時に感じたことがあります。「派閥政治は必ずしも悪くなかったのではないか」と御厨先生はおっしゃいました。

 というのは、派閥政治の中でいろいろな人たちがかなり濃密に政策談義を行っていたからです。その中で、政策の進め方が詳細に練り上げられていったのに、それがなくなってしまった。さまざまな人脈が動いたり、「この派閥から何人出す」などの談合があったため、結局は派閥政治の悪い面だけが捉えられましたが、官邸主義になっていくことで、そうした派閥政治の中で引き止めていた部分がなくなってしまったのは事実です。

 もちろん一方には官僚制という要因もあるので一概には言えませんが、派閥政治によって政治家たちが一つの集団として、自分たちのグループの利権もあるでしょうけれども、それと並行して政策をきちんと議論していたわけです。その場所がなくなったのは、一つの大きな問題ではないかと思います。


●ローマのファクティオとゲマインシャフト


本村 問題は、どういう形でそういう政...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照