独裁の世界史~未来への提言編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
共和政の意味を江戸幕府とローマ元老院の違いから理解する
独裁の世界史~未来への提言編(3)共和政とは何か
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
独裁、共和政、民主政と並べたとき、日本人にとって理解しづらいのは共和政である。共和政は寡頭政や貴族政に近く、独裁に対して、ある種集団で政治を運営する形が欧米人の考えに基づく共和政だと本村氏は言う。そこで、われわれ日本人にイメージしやすい例として江戸幕府の合議制を取り上げ、ローマの元老院とどこが違うのか、その点を解説していく。(全10話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分03秒
収録日:2020年8月7日
追加日:2020年11月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●独裁に対抗するシステムとしての共和政


―― 自由の問題はとても重要なので、後ほどまたお聞きできればと思います。独裁、共和政、民主政と並べたときに、だんだん独裁が崩れて民主政になり、民主政が崩れてくるとまた独裁に戻っていくという循環をお話しいただきましたが、ローマでは独裁が崩れたときに共和政に向かったという形になろうかと思います。

 日本人にとって比較的理解しづらいのは、その共和政が一体何なのだろうというところです。独裁と民主政については比較的すぐにイメージがつくと思いますが、共和政はどういうものとして理解すればよろしいでしょうか。

本村 民主政の場合は、民衆の一人一人が直接ないし間接的に政治に関与します。一方、共和政の場合は、寡頭政や貴族政に近いところがありますが、単に民衆から選ばれた人たちが国会議員になって国家を運営するというようなシステムを「共和政」と呼んでいいのかどうかという問題があります。むしろ欧米人の考えでは、共和政はある種の人たちが独裁ではない形で政治を集団で運営することです。

 彼らの歴史には、非常に独善的な独裁政がありました。ローマ人にとってはエトルリア人の支配がそうだったし、前近代においてはフランス革命が起こる時の絶対王政などがそうだったわけです。そうした体制に対して、より集団的な指導体制をもって政治を運営していこうということですから、欧米人の考え方では独裁政に対置するのが共和政ではないかと思います。民主政は、まだその先に出てくることになります。

 しかし、日本で独裁政というと、古くは天皇だったり鎌倉以降は幕府だったりしましたが、思いつく限りそれほどひどい独裁政はなかったようです。そのため、日本はそれに対して、共和政という集団指導体制を持ってきてなんとかしようという発想があまり起こらなかったわけです。


●共和政の典型はローマの元老院


本村 例えば江戸末期でも、将軍の力はもちろんまだ相当ありましたが、当時薩摩藩や水戸藩などから代表者が出てきて、幕府のもとで大老による会議などが行われていました。それが、独裁政に対する一つの日本的な形ではないかと思います。ただ、それはごく小さい集団だったため、共和政とか貴族政といえるものではなく、そうした経験なしにその後すぐ明治になってしまいます。

 明治の頃になると、ヨーロッパでは「選挙で選...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(5)「3つ」で組まれた構造分析
驚くほど似ているギリシアの『オデュッセイア』とインドの『マハーバーラタ』…その謎に迫る
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)ホメロス問題と詩の魅力
ホメロスの叙事詩は1人が書いた?…ホメロス問題の真相
納富信留
50年ぶりの「円安」日本~その原因と為替対策に迫る
給料も物価も上がらない日本…円安との密接な関係
伊藤元重
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎