独裁の世界史~未来への提言編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『カラマーゾフの兄弟』の予言通りデジタル独裁へ進むのか
独裁の世界史~未来への提言編(10)もっと「マシなポピュリズム」へ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
中国共産党がデジタル独裁の将来へ着々と進む中、自由主義・民主主義陣営は反撃のための模索を始めている。しかし、西洋はローマ法に基づき、中国は刑法を中心に発展してきた社会である。日本はその双方を理解することができる存在として、どのような道を取るべきなのだろうか。(全10話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:18分12秒
収録日:2020年8月7日
追加日:2020年12月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●デジタル独裁と『カラマーゾフの兄弟』


―― これが最後の質問になると思いますが、このシリーズの中(※)で先生が紹介されたユヴァル・ノア・ハラリの「デジタル独裁」という概念についてです。

 一つには、自由になった国民が、もう一度AIによる判断を求めるという要素もあるでしょう。あるいは今の中華人民共和国が典型的にそうですが、AIの技術を使って『1984年』の「ビッグ・ブラザー」のような社会が本当にできてしまったような状況も出現しています。そういう「デジタル」が入った場合の独裁・共和政・民主政については、まだ形がないのですが、予感的なものとしては、どういうふうになっていくと思われますか。

本村 デジタル的なものの独裁に関しては、それ以外の官僚制の進展にも関わりますが、『カラマーゾフの兄弟』の中に大審問官の話があります。これは次男のイワン・カラマーゾフが話す想定上の物語ですが、一つの大きな集団を大審問官という人物が治めています。とにかく集団をそれなりに豊かにしてあげれば、あとはもう嘘八百並べてもいいぐらいの状況です。

 『1984』でもそうなのですが、そういう大きなシステムができてくると、どんどん専門分化が進んでいって、全体が見えなくなりがちです。そして、大きな集団の生活や社会秩序を安定させていくのは大変なことだから、統括にあたる部分に必要なのは、正義や正しさ、真実ではありません。みんながそう思いたければそう思っていいというか、むしろトップに立つ者が真実を決める。それに則ってみんなが行動していけば、それなりにみんな豊かな生活ができるというシステムです。

 これは今、中国共産党がやっていることはそれに近いようなところがあるし、それをデジタル化すれば、ますますその行為は正当化されていきます。結局、19世紀半ばにドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』で想像していたような社会が、それからおよそ200年後の21世紀の半ば近くになっていくと、本当に現実になりつつある。一つには単純に人間の規模が大きくなったからであり、専門分化が進んできたからです。

 ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』には、大審問官の話以外にも非常に面白い逸話があります。患者が「右の鼻の具合がおかしい」といって耳鼻科に行くと、「いや、私はそれは扱えない、左の鼻の穴の専門家だからです」とはねのけられたという話です...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ