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「医療現場の逼迫」という大問題はこうすれば解消できる

第2次緊急事態宣言・コロナ対策再検証(3)医療を救う方法

情報・テキスト
緊急事態宣言が出される大きな要因は「医療現場の逼迫」である。現実に、いまコロナ患者の治療に必死に当たっている医療従事者の努力、献身は大変なものである。だが、日本は現段階では欧米の数十分の一程度の感染者数なのに、なぜ医療現場が逼迫してしまうのか。そこに「医療資源配分の適正さ」や「目詰まり」の問題はないのか。どうすれば、この大問題を解決できるのか。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:08:30
収録日:2021/01/08
追加日:2021/01/16
≪全文≫

●なぜ、本来は豊富な医療資源を使い切れていないのか


曽根 この(新型)コロナウイルスの1つの特長は、人工呼吸器でつなぐあいだに、ウイルスが陰性になるのを待つ。まだ、ワクチンも特効薬も十分に出ていないので、「酸素を絶やさない」という方法が、1つの治療なのです。ですから、自宅でも酸素が下がらないようにする。入院したら、人工呼吸器がある。大づかみにいえば、それさえできれば、つまり、容体があやしい人の命をいかに永らえるのかという手法は、かなり確立したと思います。2020年3月くらいからの経験知は積み重なっています。医療機関もどう対処すればいいかはわかったと思います。

 しかしもともと、感染症のお医者さんや看護師さんの数は少ないのです。医療資源としては、「ベッドはあってもお医者さんはいない」というところで目詰まりが起きるわけですが、「世界的に見て(進んでいる)日本の医療体制を維持しながら、コロナ対策をどうするか」という手順が明確になれば、医師会からの反発もそんなに強くなくて済むのではないかと思います。

小宮山 いまの問題を明確にしておくと、国民の数あたりのベッド全体の数は、日本は世界のトップクラスに多い。それから感染者の数は、いま増えたといっても、まだ欧米の数十分の一です。少なくとも十分の一以下です。

 いまベッドの数に換算していいましたけれども、医療の資源が他の国より豊かで、破綻するはずがないのです。十分の一、三十分の一の感染者の数で。これが破綻するのは、いまおっしゃったような状況によるわけです。

 だから、もう当たり前に「無症状の人は、こうだ」ということを明確にする。ここが非常に重要。

 そのときに、いろいろなことをいうのです。たとえば、「ICUが少ない」。これはそうです。ICUの数は少ない。しかし、では、「いまあるICUがきちんと使われているか」といえば、使われていないのです。これも東京医科歯科大学の田中学長の話を聞いたのですが、たしか、二十数床あるICUなのだけれども、ここが相部屋になっている。そこに1人コロナ患者を入れてしまうと、みんな他のことに使えなくなってしまう。そこで仕切りを入れて、こちらはコロナ用ということで十何床かを使っておられる。1500万円でできたそうです。だから、そういうことをどんどんやればいいのです。

 それらのさまざまな目詰まりで、(医療)資源があるのに使い切れていない。そのあたりを、私が座長を務めている「コロナ危機下の医療提供体制と医療機関の経営問題についての研究会」で、いろいろ検討しています。お医者さん、医療行政の方、看護師さんなどきわめて広い分野から人々を集めており、報告書も出しました。(現時点で)これまで3回、提言しているのですが、そのなかでも議論が大変でした。

 やはりお医者さんは、「患者が治るかどうか」ということしか考えていない。「それしか考えていない」というと語弊がありますが、そういう部分はかなりあります。「PCRをやると、かえってこんな問題がある」というような話もなされますが、しかし、必ずしも最先端のPCR技術の進化を把握されているお医者さんばかりではありません。「7割の感度で、偽陽性や偽陰性のおそれがある」という話は、もう国際的には解決されているといっていいのです。そういう最先端の「知」は、実をいうと、専門家だって、先ほど見た「ハリセンボン」の針のようにバラバラで、なかなかわからないところがある。

 それでも一生懸命に議論をして、少しずつコンセンサスをつくりつつあります。これまで、ここでお話ししてきたことと、それほど大きく変わるところではないのですが、「資源はあるのに使えない」という医療システムの目詰まりをどうやって克服していくかということについては、かなり議論しているので、そこは突破できると思います。話が細かくなるので、ここでは申しあげませんが。

―― いままでの議論を整理すると、1つはPCR検査について、どんどん拡充していく方向にして、もっと数を増やしていく。これまでも安倍総理を含めて「拡充するんだ」といいつつ、なかなか実現できなかった。

小宮山 ここも基本的には感染症法の話で、保健所にいわなければいけないのです。一方で、実は民間でのPCR検査も流行ってきています。また、これも東京医科歯科大学の話ですが、あそこはコロナの患者をたくさん受け入れて、重症者対応も非常によくやっている病院です。そうすると、お医者さんや看護師さんも怖いわけです。あそこは自分のところでPCRができるので、保健所と関係なく、PCR検査をやっています。そうすると、お医者さんや看護師さんも安心するといっていました。

 PCRは、ゲノムの関係する研究――バイオの人たちもほとんどそうですが――そういう研究をし...
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