「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
本性主義の経営――コロナ禍でも人間の本性は変わらない
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(5)本性主義の経営とコロナ
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
騒動が起こりやすくなったのは、情報流通手段の発達によって、情報拡散のスピードが格段に上がっているためである。しかし、どのような騒動、あるいは緊急事態の中でも人間が高い適応力を示していることは、過去の事例を振り返っても分かる。このような状況下で経営に必要なのは、どんな状況でも変わらない人間の本性を見極め、その本性に合致したサービスを提供することなのである。(全6話中第5話)
時間:12分32秒
収録日:2020年12月7日
追加日:2021年5月22日
≪全文≫

●情報流通手段の進歩で騒動が起こりやすくなっている


 では、なぜ現在のような状況になるのでしょうか。私の意見では、良くも悪くも、社会進歩の結果だと思います。社会が進歩すればするほど、騒動は起きやすいのです。米騒動も、当時、市場メカニズムが日本で発達し始めたこと、および明治時代などと比べるとはるかに情報拡散のスピードが上がっているために、あのような騒動が起きたのです。つまり、市場(マーケット)メカニズムと情報(流通)のスピードということです。

 今回の場合、社会進歩を感じる点は、グローバルに人間の生命が一番重要だという普遍的な価値観が確立している点です。だからこそ、これだけの大騒ぎになるわけです。また、いうまでもなく、情報の流通スピードが格段に速くなっているので、これによって、騒ぎが大きくなっていると思うのです。

 もう一つ、逆・タイムマシン経営論的な発想で、私は太平洋戦争時代の空襲にさらされた日本人はどのように生きていたのか調べました。空襲下の東京を生きた同時代の人々が残している日記(『戦中派不戦日記』<山田風太郎著、講談社>『東京焼盡』<内田百閒著、中公文庫>『古川ロッパ昭和日記』<古川ロッパ著、晶文社>)を、2020年3月から4月にかけて熱心に読みました。その結果一つ分かったことは、人間の適応力がいかに侮れないかという点です。空襲はおっかないものですよね。初めは怖くて体の震えが止まらない普通の市民も、連日の空襲の中で、半年たつとすっかり空襲に適応して、怖がらなくなっていると書かれていました。初めのような怖がり方はしなくなっていたのです。

 やはり人間の適応力はバカにならないと思ったのです。コロナの場合は、破壊の意思を持っているわけではないので、空襲よりはだいぶマシだろうと思います。ただし、今のところはワクチンや特効薬がなく、また感染症は目に見えません。それゆえに怖いという理屈はよく分かります。

 この方はフランスの有名な思想家のミシェル・ド・モンテーニュです。彼はペストの時代のヨーロッパを生きており、彼が住んでいたフランスのモンテーニュ村にも遂にペストが押し寄せてきました。さすがのモンテーニュも少し動揺しましたが、彼は結局、われわれはいつでも乱されていることに思い至るのです。

 この指摘は正しいと思います。例えば、今回の騒動は100年に一度の危機な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
真理は平凡の中にある
感動した言葉は野球部監督の「あいさつは野球より難しい」
上甲晃
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
リーダーの心得…幕末の偉人たちを育てた佐藤一斎に学べ!
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(4)欲望と欲求と欲動
ほしいものが、ほしいわ。…欲望の無限運動が資本主義の基盤
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
生活習慣病予防に~健診結果の正しい読み方(1)データから生活習慣を考える
内臓脂肪がなぜ増えた?データから考えるリスクファクター
野口緑
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
三つの建国――その歴史的背景から迫るアメリカの原点
中西輝政