「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
IT業界で次々に発動される飛び道具トラップのメカニズム
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(3)飛び道具トラップと「文脈剥離」
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授)
同時代性の罠には、飛び道具トラップ、激動期トラップ、遠近歪曲トラップの三つがある。今回は、IT業界における飛び道具トラップの弊害について考察する。この50年を振り返っても、IT業界ではさまざまな発明が出てきており、そのたびに大きく産業構造が転換するといってメディアは人々の恐怖を煽った。しかし、そうした波に流されて失敗した事例から、本質を見極めて適切な選択を行う能力を培うことの重要性が浮き彫りになる。(全6話中第3話)
時間:12分26秒
収録日:2020年12月7日
追加日:2021年4月5日
≪全文≫

●同時代性の罠は三つのタイプに分けられる


 そうすると、歴史はいよいよ味わい深いものとなります。この50年間の、例えば『日経ビジネス』の記事を振り返るだけでも、歴史は変化の連続であることが分かります。ただし、変化を振り返ると、その中でも一貫して変わらないものがあることにも気づきます。それがすなわち本質ではないかと思うのです。変化を追っていくことで、逆説的に変わらないものが見えてきます。この歴史の逆説を利用するのが逆・タイムマシン経営論なのです。

 同時代性の罠は、三つのタイプに分けて考えることができます。一つ目は「飛び道具トラップ」です。二つ目は、今こそが激動期と思い込むことで、奇妙な手に出てしまう「激動期トラップ」です。三つ目は、遠いものほどよく見えて、近いものほど粗が目立つという現象です。例えば、日本はダメで、逆に中国は伸びている。何か見習うべき点があるのではないかといった具合です。このようなバイアスに囚われて判断ミスをすることを「遠近歪曲トラップ」といいます。このような同時代性の罠にはまって、判断ミスをする会社が後を絶たないのです。その中でも、今回は飛び道具トラップについて詳しく見ていきたいと思います。

 このトラップは、IT分野で次々に出てきています。いつの時代も、「これからはこの新たな技術が競争の決め手になる」「秘密兵器だ」などといわれます。こうした飛び道具がITの分野で出てきては、みんなが飛びつき、判断ミスをしてしまうのです。

 非常に興味深いのは、『日経ビジネス』を50年分読んでいくと、ずっと「仕事がなくなる」といわれています。オートメーションの出現で仕事がなくなる、あるいは1960年代にはコンピュータで仕事がなくなるという話もありました。ロボットの出現や、覚えてない方もいるかもしれませんがSIS(戦略情報システム)で仕事がなくなるともいわれました。インターネットの出現や、ERP(企業資源計画)も同様にいわれました。少し前にはAI(人工知能)、今ではDX(デジタルトランスフォーメーション)で仕事がなくなると騒がれています。その割には、多くの人は変わらず仕事しています。

 例えば、コンピュータによるオートメーションが始まった時の新聞の記事を見て見ましょう。工場の自動化だけでなく、事務も自動化されることで、大規模な人員削減が起こると指摘されています。現在のAI...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
イーロン・マスクの成功哲学(1)マスクが「世界一」になるまで
イーロン・マスクは何がすごい?生い立ちと経歴
桑原晃弥
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
営業から考える企業戦略(1)成功するブランド戦略とは?
ブランド力を高めるために「自社の強み」を徹底的に聞け
田村潤
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
不便益システムデザインの魅力と可能性(1)「便利・不便」「益・害」の関係
便利を求めるだけのいいの?…「不便益」で発見できる新たな魅力
川上浩司
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
イノベーションの本質を考える(3)イノベーション事例
カシオのデジカメが起こしたイノベーション
楠木建
生成AI「Round 2」への向き合い方(4)日本企業のAIモデル
Copilotに訊いてみた!日本企業のAIモデルの特徴とは
渡辺宣彦