コロナパンデミックと闘う世界と今後の課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界最悪の感染拡大が進むアメリカの状況を確認する
コロナパンデミックと闘う世界と今後の課題(3)経済活動再開と第二波
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
コロナウイルス対策としての活動制限が各国の経済に与えた打撃は深刻だったため、各国政府は感染拡大が落ち着いてくると迅速に経済活動の再開に尽力した。しかし、その結果再度コロナウイルスの感染拡大が広まりつつあり、感染第二波への対応に各国政府は現在も追われている。島田晴雄氏が、経済活動の再開と感染第二波への対応に関して、さまざまな国の事例を紹介する。(全12話中第3話)
時間:9分34秒
収録日:2020年7月16日
追加日:2020年8月28日
≪全文≫

●各国の経済活動再開の取り組み


 こうした状況なので、世界各国は一刻も早く経済活動を再開しなければならないということで、さまざまな取り組みに着手しています。各国の具体的な取り組みに目を向けてみましょう。

 中国は2020年3月の上旬から生産活動を再開しました。武漢市では1月23日から全都市を封鎖しましたが、2か月半経過した4月8日に解除しました。それより前に、中国全土で生産活動は再開されて、国民はその後、自由に買い物、集会、旅行ができるようになりました。

 次に、韓国では2月下旬に宗教団体の集会がクラスターとなり、そこから急激に感染爆発が起きました。しかし、韓国はSARSの苦い経験から学び、疾病管理本部という、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)よりも強力な組織を作りました。この機関を中心に、非常に効率的な検査と強制隔離を徹底し、3月中旬には事実上収束させて、世界の成功例として注目されています。文在寅大統領の所属する与党はこの成果を強調して、選挙に大勝しました。

 また、欧州ではドイツが比較的優等生です。3月22日に全面休業要請を出しましたが、1か月ほどで段階的に解除していきました。ドイツでは1日の新規感染数が1000人以下という基準を一つ掲げました。加えて、1人の患者が何人の新たな患者を生み出すか示す、実効再生産数が1以下という基準も用いました。その結果、5月6日に国内全商店の営業を解禁しました。特にドイツで最も重要視されたのが、ブンデスリーガの再開でした。やはりサッカーはヨーロッパの国にとって非常に重要なようです。

 対して、イギリスでは集団免疫の獲得という方針を掲げて、ロックダウンの実施を遅らせていた結果、深刻な状況に陥りました。5月上旬の段階で、世界第二位の死者数を記録していました。この段階で32,000人が亡くなっていました。それでも、5月11日に段階的なロックダウンの解除に踏み切りました。イタリアでは感染爆発に伴う医療崩壊で危機的状況に陥りましたが、4月半ば~下旬から徐々にロックダウンを解除していきました。

 欧州全体に目を向けると、図1で示されたように、その後の感染はある程度コントロールされており、沈静化に向かっているといえます。7月の上旬段階では、特に感染拡大の第二波の兆候は観察されていません。

 また、日本では(2月)ダイアモンド・...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
クーデターの条件~台湾を事例に考える(2)クーデターの成功条件とリスク
軍の配置を見れば分かる!台湾のクーデター対策とは
上杉勇司
いま夏目漱石の前期三部作を読む(9)反知性主義の時代を生き抜くために
なぜ『門』なのか?反知性主義の時代を生き抜くヒント
與那覇潤