コロナ禍で揺れる世界経済の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
メルケル首相とマクロン大統領による「歴史的決断」とは
コロナ禍で揺れる世界経済の行方(5)EUとヨーロッパ情勢
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
新型コロナウイルスはEUとヨーロッパ諸国にも甚大な影響を与えた。中でもイタリアの医療崩壊、イギリスの首相や皇太子の感染などのニュースは、日本人の心胆をも寒くしたものだ。しかし、世界の多くの国が「自国ファースト」になる現在、EUでは協力して苦難を乗り越えるための歴史的な動きが始動している。(全9話中第5話)
時間:15分23秒
収録日:2020年6月15日
追加日:2020年7月8日
≪全文≫

●「経済安定基金」活用をめぐるユーロ圏の攻防


 今回はEUとヨーロッパ諸国について触れていきます。3月に入ってヨーロッパ諸国に感染が急速に広まると、各国の首脳もEU当局も危機感を強めて、「containment: 封じ込め。ステイホーム」政策が各国の経済にもたらす深刻な影響を軽減させるための方策を模索します。とくに中小企業を倒産させないこと、仕事や所得を失った勤労者を救済することを重視して、主要国ではみな、これまでになかったような大型経済対策を打っていきます。

 ユーロ圏全体としての策を講じるため、「経済安定基金(ESM)」の活用による総額5400億ユーロ(64兆円)の経済対策について合意が得られます。これを雇用維持対策、資金繰り対策に使うという方向性は定まりましたが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が強く提案した「ユーロ圏における共同債券の発行」による経済復興案は見送りになります。

 4月23日にはEU首脳がテレビ会議を行いますが、財源についての結論は持ち越しとなります。なぜ持ち越されたのかというと、北部欧州と南欧諸国の格差や対立があるからです。北部欧州はオーストリア、オランダ、ドイツなどの経済的に成績のいい国々、南欧は地中海に面したイタリア、スペイン、ギリシアなどです。

 北部欧州には、自分たちが頑張ってここまで来たという気持ちがあるので、南欧の借金の肩代わりは受け入れられません。資金を提供するのはいいけれども、必ず「貸付」として「返済」を求めるべきだと主張します。そう言われても、南欧諸国にはとうてい返済できるあてがない。「自分たちに死ねというのか」というような、大変な議論になってしまいます。何度も攻防が繰り返され、そのたびに暗礁に乗り上げました。


●メルケル+マクロンの「歴史的決断」とは


 ところが、5月18日に世界中があっと思うようなことが起きます。ドイツのアンゲラ・メルケル首相とマクロン大統領がビデオ会議を行い、「ヨーロッパの経済復興のために5000億ユーロ(約60兆円)の新しい基金を設立しよう」という合意に至ったのです。

 基金の性質としては、以前からマクロン氏が希望していたように、EUの信用によって金融市場から多額の融資を行い、半分ほどをイタリアやスペインなどの困窮国に給付するという案です。これまでドイツやオーストリアの反応は、「ふざけるな」という論調でしたが、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(2)「出挙」と国司の仕事
地元の有力者の力を借りるために大伴家持が詠んだ歌とは?…今も奈良時代も変わらない中央官僚と地元有力者の関係
上野誠
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会(1)進化のスパンと現在の人間生活
ヒトの進化史を文明の発展の時間軸から考える
長谷川眞理子