2019年激変する世界と日本の針路
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
メルケル独首相の影響力低下とマクロン仏大統領の台頭
2019年激変する世界と日本の針路(7)独仏の政治的変化
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
ドイツではこれまで圧倒的な支持を集めていたメルケル首相の影響力が低下し、反メルケルの動きも出てきている。フランスでは既存勢力を排してマクロン大統領が台頭。こうした両国の政治の変化をどう捉えればいいのだろうか。(2019年1月28日開催島田塾会長講演「激変する世界と日本の針路」より、全14話中第7話)
時間:6分12秒
収録日:2019年1月28日
追加日:2019年5月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●メルケル首相は2017年、総選挙で敗れ、大連立を組んだ


 次はドイツについてです。島田村塾では2017年、2018年とドイツに行ったのですが、2017年当時、アンゲラ・メルケル首相は「移民を受け入れる」と言って、非常に人気を高まっていました。われわれがドイツに行った頃は(2017年)4月でしたが、メルケル神話というのか、メルケル氏が総選挙に出たら絶対勝つといった雰囲気があり、実際にそうだろうなと思っていました。

 ところが、(2017年)9月に行われた総選挙でどういうことになったかというと、政権党のCDU(ドイツキリスト教民主同盟)とCSU(キリスト教社会同盟、バイエルン州のみでCDUの姉妹政党)が大惨敗。AfD(Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢)という政党があるのですが、この党は右翼で移民反対ということで、大きく票を伸ばしました。CDU、CSUは与党で第1党だったのですが、両方合わせると得票率が33パーセントしかないという状態でした。

 得票率33パーセントでは政権をつくれません。20パーセントで第2党のSPD(社会民主党)という政党があるのですが、ここと組めば政権をつくれるため、「組んでください」とお願いしました。過去12年間ずっと組んでいたからです。そうしたら、オーラフ・ショルツという当時の党首に拒否されました。SPDの人は皆、嫌がっているのです。なぜなら、メルケル氏と組んで良いことが一つもなかったからです。

 メルケル氏はヨーロッパの代表のような人です。ドイツの寵児で、神話にもなりそうな人です。そんなメルケル氏が選挙に勝ったら、いいところは全部メルケル氏が持っていってしまう。それでは応援したSPDは出るところがない。ということで、これまでずっと損していた。今度組んだらSPDは消えてしまう、という恐怖感があり、断ったのです。

 仕方がないので、メルケル氏は、自由民主党という右翼の党と、緑の党(Die Grüne)という環境問題について唱えている左翼の党と交渉しましたが、合うわけがありません。失敗して帰ってきました。

 そうしたら、さすがに世界中から、「ドイツは決められないのか。立派な国のはずなのに何をやっているのか」と散々言われました。そこで、SPDのショルツ党首は12月になって、軟化してもいいが条件があるといったことを言い出しました。メルケル氏に全部持っていかれると、自分たちは存在感が全然出せな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(5)生成AIの活用イメージ
Copilotの提供方法を紹介~一般向けから業務特化型まで
渡辺宣彦