2019年激変する世界と日本の針路
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BREXIT実現のため解決しなければいけない大きな課題
2019年激変する世界と日本の針路(5)BREXITと国境問題
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
メイ首相は、国民投票の結果、指示されたBREXITを本気で実現しようとしている。しかし、そのためには多額の負債を返済する必要がある。そして、アイルランドとの国境問題も解決しなければいけないが、なかなか妙案は浮かばない。(2019年1月28日開催島田塾会長講演「激変する世界と日本の針路」より、全14話中第5話)
時間:8分19秒
収録日:2019年1月28日
追加日:2019年5月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●「国民投票の結果は重い」


 次にイギリスの話に移りましょう。イギリスでは、皆さんご存じのように、(2016年に)BREXITに関する国民投票が行われました。この投票はイギリスでテレビの解説を理解した人たち、高学歴層の多くは投票には行っていないそうです。まさか冗談でしょうと思っていたのでしょう。EUから出たら非常に損しますし、EUも大迷惑です。

 しかし、結果的に51.9パーセントでEUを出ていくことになってしまいました。デイビッド・キャメロン前首相は知識派ですから、残ることは良いに決まっていると国民に説いていたのですが、負けたので首相から降りました。

 そこで誰が首相になるのかということで、キャメロン内閣で内務大臣を務め、大変な真面目なテリーザ・メイ氏が首相になりました。メイ氏は最初どちらにするか、はっきりと言わなかったのです。私は毎日フィナンシャルタイムズ(Financial Times)を熟読していますが、全然言わないということで、メイ氏はひょっとすると大物ではないかと思ったのです。

 なぜかというと、国民投票は議会民主制の国では正式な決定ではなく、参考意見にすぎないからです。つまり、「国民の考えも変わったので(EU離脱は)やめましょう」と議会で決めてしまえば、この問題はそれでなくなってしまうのです。

 ところが、メイ氏はご出身が中産階級で、すごく真面目な人です。残留派だったのに突然、2016年10月になって旗色を鮮明にしました。「国民投票の結果は重い」と。


●EUからの離脱のためにはイギリス政府は返済しなければならない


 そこで皆が「離脱とは何か」を聞いたら、名句なのですが、「BREXIT is BREXIT」と言ったのです。問答無用でしょうということですが、非常に真面目です。強硬離脱は自分の信条とは全く逆だけれども、そこに政治生命を懸けるようになってしまったのです。2017年3月29日にリスボン条約50条に基づいて、EU本部に離脱を正式に通告しました。そのために、2年後の「2019年3月29日に離脱する」ということになったのです。

 それで、予備交渉のために、彼女はベルギーの首都ブリュッセルに当時ヨーロッパを仕切っていたアンゲラ・メルケル氏を訪ねました。そうしたら、メイ氏は手切れ金を払わなければなりません。手切れ金とは何かというと、イギリスがEUに対して清算していない負債の清算分があり、日本円で8兆円近くですが...

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