BREXITの経緯と課題
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BREXITのEU首脳会議での膠着
BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している。(全8話中第6話)
時間:9分58秒
収録日:2018年12月4日
追加日:2019年3月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●2018年10月の保守党大会


 テリーザ・メイ氏は帰国し、2018年10月に保守党大会があったのですが、その閉会前に演説を打ちました。持論のチェッカーズプランについて話をしたわけですが、非常に力がこもっていて、大会の空気を主導したといわれています。もし無秩序離脱が避けられないのなら、それも私は恐れないと、捨てぜりふをはき、「私の離脱方針に付いてきなさい」と言ったそうです。非常に迫力があったとイギリスの新聞は述べています。

 ボリス・ジョンソン氏も演説しましたが、具体的内容は乏しくて、しかも、そこまで言うのなら自分で保守党党首選に出ればいいのに、そこに出る気迫もありませんでした。だから、大会はメイ首相ペースだったとイギリスの新聞は書いています。これがメイ首相の国内での復活を感じさせるかは疑問ですが。


●再投票問題への関心の高まり


 一方、イギリス国内では国民投票の再投票をしたほうがいいという議論が出てきました。労働党は9割が、国民投票をもう1回やるべきだといいました。ジョン・カー上院議員というオピニオンリーダーで、EU条約の離脱条項の策定に携わった人で、この大変な長老も、国民投票をもう1回やったほうがいいと言っています。メディアが「どうしてですか」と聞いたら、インフォームドコンセント、つまり、よく分からない国民に選ばせても、まともな結果が出るわけない、というわけです。

 スコットランド国民党という政党は、下院に35名も議員送り込んでいるのですが、この人たちは、もし再投票になれば疑いなくそれに参加して、イギリスのEUとの交渉が有利なほうに進むように議会について働きかけると言っています。ところが、再投票の議論は散々持ち上がるのですが、最終的には多分そちらの方向には進まないでしょう。それはなぜかというと、多くの識者たちは、再投票を行うことは、これでもってイギリスのデモクラシーが毀損するからだと考えます。また、国民を分裂させることになり、メリットは余りになさ過ぎるし、リスクは大きいからです。

 私が2018年10月末にシティー・オブ・ロンドンで、金融の有力者とか大学関係者といろいろな議論をした時、皆さんの共通の意見は、「イギリスが民主主義国家として、国民投票の再投票をさせることは考えられない。なぜなら、それは国民への信義の問題だから」というものでした。ですから、これは不動の結果...

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