BREXITの経緯と課題
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
テリーザ・メイ首相はどのような人物なのか?
BREXITの経緯と課題(2)離脱派の攻勢とメイ首相の登場
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
イギリスでは、2015年の総選挙で大勝した保守党が国民投票を前倒しして行った。そこでジョンソン氏やゴーヴ氏らのキャンペーンによってEU離脱派が勝利すると、キャメロン首相は辞任。新たに首相に就任したのはテリーザ・メイという女性だった。彼女は一体どんな人物なのか。(全8話中第2話)
時間:8分21秒
収録日:2018年12月4日
追加日:2019年3月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●虚偽の主張を繰り返す離脱派のキャンペーン


 (イギリスでは、)2015年の選挙は保守党が危ないといわれていたのにもかかわらず、大勝したのです。その結果、単独で政権が担えるということで、約束した国民投票を、2017年ではなく16年の6月に前倒しをして行ったということです。

 デーヴィッド・キャメロン氏は、ボリス・ジョンソンというロンドン市長を、自分の盟友と思っていました。後継者はボリスにしようかと思って、口にも出していたのですが、このジョンソン氏がキャメロン首相とたもとを分かち、離脱派の先導者になりました。それから、キャメロン氏が盟友として尊敬していたマイケル・ゴーヴ氏(当時司法大臣)も離脱派に入りました。つまり、キャメロン氏は右左から殴られた感じですね。

 キャメロン氏はEU当局と非常に交渉をしまして、イギリスの要望をできるだけEU側に伝えて、ある程度の理解と譲歩を得たので、残留は国益になるという信念を固めて残留キャンペーンをずっと続けたのです。その時、キャメロン氏が行ったのは、離脱をするとどれだけ損になるか、残留するとどれだけ得になるかを、非常に分厚いブックレットを作って国民に配布したことです。「理解してください」と訴えたけれども、国民はほとんど読まなかったようですね。

 一方、離脱派はどうかというと、ジョンソン氏やゴーヴ氏は、こういうことを言いました。「離脱さえすれば、外国人労働者の脅威がなくなるよ」と。それから、「EUにいろいろなものを払っているけれど、その負担が減るんだよ」と、情緒的に訴えました。赤いバスを仕立てて全国を遊説し、EUから出れば、毎週3億5000万ポンドがブリュッセルから返ってくるので、そのお金を医療の充実に充てると主張しました。皆、大拍手です。

 ところが、国民投票の結果、実際離脱するということになったらどうなったかというと、実はイギリスはEUに未払い金があったのです。膨大な額です。結局、お金が戻るどころか、たくさん払わなくてはいけません。うそをついていたのです。一体イギリスの政治はどうなってしまったという感じですよね。

 離脱派が国民投票で勝利をした後、なんと、離脱派の急先鋒だったファラージという独立党の党首が雲隠れしました。ジョンソン氏は、「国民投票は俺の責任じゃない」と言いました。それから、清算支払い義務というものが発生して、離脱するとと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓